村上春樹さんの「騎士団長殺し」が中国で「下品図書」になってしまいましたね。理由は性的描写が多いからだそうです。たしかに村上春樹さんの小説は、どれも性的描写が盛り込まれていますけれど、文学なんですから、あって当然の描写ではないでしょうか?
では、「騎士団長殺し」の登場人物で、どこが「下品」であるか面白くみていきましよう。
私 主人公
36歳の才能ある肖像画家。男性。
確かにかれは、色々な女性とXXしてます。この小説にでてくる女性5人とは関係があります。その様子をサクッと書かないで、結構念入りに様々な角度から描写しているから「下品」と言われてしまうのかもしれません。でも、官能小説のような表現ではなく、意外にもあっさりしていて、観察のようにかんじられます。
柚
主人公 「私」の妻で、3つ年下です。会社勤めのキャリアウーマン。
彼女じゃイケメン君が好きなようで、それが別居の原因?なのかもしれませんが、別にエロいわけではありません。自分が夫のことを、好きかどうか分からなくなり、離婚を切り出すなんて、むしろ貞節です。
小径
主人公の妹。12歳で病気で死亡。
中学生の病気をもちながら、前向きに快活に生きる女の子です。「下品」かどうかという比べる対象にはいっていません。
二人の娘がいる人妻
裕福な家の40代のマダムで、主人公と不倫をします。
不倫なので、ドロドロの性格かと思いきや、知的でサッパリタイプです。主人公との関係も、割り切っていて、家庭の事情でスッと別れます。けれど、「ジャングル通信」なるもので、主人公に情報を提供して助けてあげたりもして、「大人の女性」を演出してます。
雨田 政彦
主人公の友人で、デザイン会社に勤務。
美大時代からの友人で、主人公にアトリエを貸した人です。彼のプライベートはあまり書かれていませんが、遊び好きなところは、匂わせていますね。
雨田 具彦
雨田 政彦の父親で、有名な日本画家。
小説の中では、もう病気で引退しているのですが、若い頃は、熱愛する女性がいて、その女性を殺した男を、50年間も恨んでいるジットリタイプ。日本の高名な画家ですから、勿論、下品要素は少しもありません。
免色 渡
主人公が暮らすアトリエの向かいの豪邸に住んでいます。
IT関係の仕事をしていたそうですが、今は悠々自適な生活を送っています。しかし、色々とわけありのようです。独身主義者でありながら、1人の女性を忘れられなくて、彼女の着ていた衣服を大事に部屋にしまっている変態さん。イケてるおじさまなのですが、潔癖症なので近寄り難い感じです。
秋川 まりえ
主人公が教える絵画教室の生徒。13歳。
反抗期の性格をもちながら、なぜか36歳の主人公には、自分の胸が小さいと、悩みをうちあける、ちょっと危ない少女です。
秋川 笙子
まりえの叔母。40代でまりえと一緒に暮らし世話をしています。
知性、教養あふれる上品な女性です。免色さんと付き合っていて、デートの時は、セクシーな下着をつけるとかで、「秘すれば花」のタイプです。こういう女性は内面からのエロティックさを感じますね。
騎士団長
イデアであるのだけれど、騎士団長の姿をしています。
ちっちゃい変な言葉遣いをするおじさんです。イデアなので博識だしスピ系のこともいうし、会話は禅問答みたいになってます。下品ではありませんが、ちょっと引いちゃう感じのおじさんです。
メタファー
「顔なが」と呼ばれる中年男性です。
「顔なが」と呼ばれるだけあって、顔の長い容姿の冴えない、ボロをまとったおっさんです。不潔な感じがして臭ってきそう。メタファーだけあって、言ってることは、はっきりしないし、オドオドしてるし、「下品」と言えるでしょう。
まとめ

主な登場人物を「下品」かどうか、面白く紹介しましたのが、彼らは、まだまだ色んな性格を持っていて、それぞれの人が深い感性をもっています。
描写や表現がどうであれ、「騎士団長殺し」は、あっという間に上下巻読めてしまう小説なので、まだお読みになっていない方には、是非、お薦めの小説です。