20年前に盗難されたピカソの「ドラ・マールの肖像」が無事、2019年3月に回収されて、話題になっています。
ピカソは92歳の生涯で147,800点の作品を残したと言われています。
その中で、盗難にあった作品、その後発見、回収されたもの、盗んだ犯人が判明したものはどれだけあるのでしょうか?また時価はいくらぐらいでしょうか?
「ドラ・マールの肖像」 (女性の胸像)
1938年、ピカソの成熟期の作品。
モデルはピカソのお気に入れの愛人の一人、「泣く女」のモデルでもあるドラ・マール。
1999年、フランスの港町で、当時の所有者だったサウジアラビアの大富豪のヨットから盗まれ、20年後の2019年3月に無事に帰還。
時価31億円。
現在のオランダ人の所有者の関係者からの通報で回収できたが、ヨットから誰が盗み出したかは不明。
「アルルカンの頭部」
2012年10月、オランダのロッテルダムにあるクンストハル美術館から、ピカソの「アルルカンの頭部」とモネやゴーギャンの作品7点が盗まれました。
「アルルカン」とは即興喜劇のコメディアンのことで、道化師やピエロともよばれます。
1971年、ピカソ晩年の作品で、「やっと子供らしい絵がかけるようになった」と自身がいっていたように、奔放でありながら豊かな集大成の形が見える作品です。
翌年の2013年1月にルーマニア人の男性3人を容疑者として逮捕。主犯格の母親が、事件の重大さに恐れをなし、それまで廃屋や墓地の埋めていた作品を掘り出し、自宅のかまどで焼却してしまった。被害総額は約130億円と言われる。
しかし、2018年ルーマニアの南東部で発見されたと報道がありました。これを受けて専門家が調査した処、単なる売名行為である、作品は偽物と判定。yはり、この作品には二度と会えないのでしょう。
「La Coiffeuse」
引用元:https://www.france24.com/en
1911年に制作されたパリの国立近代美術館の収蔵作品の一つ。
ピカソのキュビズム時代の作品で、トイツのミュンヘンでの展示を最後にパリに戻され保管されていました。2001年に貸し出し依頼を受けた際、倉庫を確認した時に盗難に気付いたそうです。
時価2億円の価値があるこの絵画は、アメリカ、ニューヨークのフェデックスの貨物の中にあり、税関で2014年12月発見されました。
この絵画のパッケージはベルギーからのもので、ラベルには「クリスマスプレゼント、手芸品、価格約4000円」と書かれていました。
発見から9ヶ月後に、フランスに返還されていますが、犯人の詳細は明らかにされていません。
「馬の頭」「グラスと水差し」
引用元:https://www.cbsnews.com/news
「馬の頭」はドイツ、ハノーバーの美術館が所有するもので、1962年制作。
「グラスと水差し」はスイスのギャラリー所有で1944年の作品。
2点とも、2008年に2月にスイスのギャラリーから盗まれて、2011年10月に、セルビアのベオグラードで発見されました。
セルビア当局は犯人が誰なのか、なぜセルビアに合ったのかの詳細を発表しませんでした。
「マヤと人形」「ジャクリーンの肖像」
引用元:https://www.thestar.com/news/
ピカソの孫ダイアナは、2度めの結婚をしたマリー・テレーズの間にできた娘、マヤの娘です。
そのダイアナのパリの自宅から、2007年2月に、1938年制作「マヤと人形」と1961年制作「ジャクリーヌ肖像」2点が盗まれました。時価は2点で70億円。
犯行は、マヤが2階で眠っているときに行われ、朝起きて階下にいくと、セキュリティシステムは切られていて、2枚の絵が無くなっていることに気がついたそうです。
犯人はまだ捕まっていません。
巨匠の名画が盗まれると、殆どの場合が闇の組織で売買され、破壊されてしまうパターンが多いと聞きます。美術愛好家としては、まだ回収されていない作品たちが無事に戻ってくるのを祈るばかりです。