正体不明のゲリラアーティスト、バンクシーらしき絵が港区日の出駅の近くの防潮堤の一部で見つかって話題になっています。
真偽の程はまだ調査中ですが、本物のバンクシーの作品だとしたら、価格はいくらぐらいになるでしょうか?
また何故このネズミの絵がバンクシーの作品の可能性が高いといえるのか、犯行声明がでているのかをチェックしていきましょう。
バンクシーの作品の価格は?
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記憶にあたらしいのは、2018年10月サザビーズで競売され1億5000円で落札された「風船と少女」が、落札後、額に仕掛けられた途中まで、シュレッダー細断された事件ですね。これ、じつは、バンクシーは全部切り刻みたかったそうですが、失敗?したようです。
その後、タイトルは「愛はゴミ箱の中に」と変更され、以前より高値がついて購入者が決まりました。
<スペースガールと鳥>
ロンドンのオークションで2000年に約522万円で落札。
<Monkey Detonator>
こちらもサザビーオークションで約629万の値が付きました。
<Very Little Helps>
2008年の作品で予想価格250万円
この日本のネズミの絵は防潮堤に描かれたもので、もうこの部分だけ切り取られて現在、鑑定をしています。
絵画の価格は素材によっても変わってきますが、バンクシーの作品はその絵の意図する内容によっても大きく変わってしまうでしょう。
壁に描かれた絵というのは、そのままして、売りに出されることは滅多にありません。しかし、パレスチナで描かれた「ロバと兵士」は、切り取られオークションにもかけられようとしていました。(映画「バンクシーを盗んだ男」を御覧ください)
例えば、ロンドンの路地裏に描かれた「Snorting Copper」の壁の所有者は、買い手がいくらお金を積んでも売る気はなく、この作品を守るために、1億円以上の保険をかけています。
このネズミの絵が本物であったとしたら、数千万の値打ちはあるのでしょうが、売買される可能性は滅んどないと思えますね。
ネズミの絵は本物か?
バンクシーが監督して2010年に公開したドキュメンタリー映画「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」にも登場。iTunes Storeで配信している字幕版を確認したところ、23分39秒ごろに、バンクシーの活動を紹介するシーンで、今回発見されたものと見られるネズミの絵が映っている。また、同年にアメリカの週刊誌「LA Weekly」の公式サイトに掲載されたバンクシーの記事では、この絵が「バンクシーのネズミ、東京 バンクシー提供」と写真が紹介されていた。いずれも絵柄のほか、六角ビスの位置も酷似している。 出典;ハフポスト
そっくりなので、かなり本物の可能性が高いですね。
文献を見てみるとたしかにバンクシーは「Rat Stencil」というタイトルでこの絵を描いています。
ただ同じ図柄ということでコピーの可能性もあるわけです。
バンクシーが活動し始めた年は、はっきりしていませんが、2002年には、日本のファッションブランドモンタージュのティーシャツを2種類作っていますし、ソニーからのオファーを断ったりしていますので、日本でもバンクシーの名はよく知れ渡っていますね。有名な作品を全く同じように描くことはできるでしょう。
けれど、ここで信憑性が高いのは、この絵が10年以上前からあったということが、Tシャツのデザインをした頃と近いので、バンクシーが日本に来ていた可能性もあるということです。また公表された画像のビスの位置が同じであることも、本物である期待が十分持てます。
ネズミの意味するところは?
バンクシーの作品は、殆どが社会風刺の意味をもっていますから、この東京の防潮堤に描いた意図は何なのでしょうか?
ある推測によれば、都市開発の進む中、選択の余地がなくその場所から映らなくてはならない人たちがいるということを暗示してるのではないか、ということです。
都市の開発が進めば近代的なビルなどが立ち、経済、文化の流通が活発化して良いことのように見えますが、その影で弱者は余儀なく慣れ親しんだ土地から離れなくてはなりません。小さなスーツケースをもって、環境汚染のため傘をさして、目的地もわからずさまよっているようなネズミの顔は、随分と寂しげですね。
東京の裏の顔を見たような気持ちになってきます。
バンクシーからの犯行声明は?
現在のところ、バンクシーからの犯行声明は出ていないようです。
ゲリラアートをした後、犯行声明をするときもありますが、バンクシーであると発見された後、自白する場合が多いようですね。他人の所有物に無断でグラフティアートしてしまうのですから、犯罪ですしね。
ネズミの絵は随分描かれていますし、10年以上前のことですから、バンクシー自身も忘れてしまっているのかも?
現在ハフポスト日本版では、バンクシー本人に「あなたの絵ですか」と、問い合わせ中だそうです。
もし本物であれば、東京都は、どのように対処するのでしょうか?どこかの美術館の収めるのか、または元の場所に戻して、観光スポットにするのか?
真偽が非常に楽しみです!