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エゴン・シーレの恋人ヴァリーは演歌の女|芸術家の恋人たち

オーストリアの表現主義の画家、エゴン・シーレ。彼の描く絵や版画は、ちょっと恥ずかしくなるほど、エロティックですよね。

それらの殆どの作品のモデルが、シーレの恋人ヴァリー・ノイツェルでした。彼女はシーレの無名時代から約7年間一緒に過ごしました。

ヴァリーは公私共にシーレを支え、「耐える愛」を貫き通したのです。 

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身勝手な主人に女奴隷のように引き渡される

ヴァリーは家出少女でしたが、鮮やかな青い目とハニーブロンドの髪を持つ、美しい容貌だったので、高名な画家グスタフ・クリムトのモデルをしていました。

クリムトは1900年の始めには、象徴主義の画家として既に有名でした。モデル兼恋人の役割をする5〜6人の女性たちと一緒に住んでいましたが、彼女たちはクリムトの単なるアートツールであったと思われます。

クリムトには弟子も沢山いて、才能のある貧しい弟子たちには好意的で、生活費を援助してあげたり、自分のモデルを貸してあげたりもしました。シーレは彼の才能のある弟子であり、ヴァリーはシーレに与えられてしまったのです。

ヴァリーは、今までの大きなお屋敷から追い出され、シーレと一緒に田舎のボロアパート暮らしとなりました。これではまるで、古代からある、主人の一言で運命が変わる女奴隷と同じでしょう。

他人の選択した道を歩かせれるヴァリー。しかしそれでも、この「生と死とエロス」の画家を愛していくのです。

浮気に目をつぶり、貢ぐ

シーレと暮らすようになり、内縁の妻となったヴァリーですが、シーレが独自の芸術性を追求するあまり、二人の生活は豊かではありませんでした。ヴァリーはシーレのモデルをしながら、働きに出て生活を支えていました。

しかし、シーレはお金の余裕はないはずなのに、どこからかモデルを雇い、ヴァリーが仕事から帰ってくると、ベッドでイチャついている有様。その上、近所の女の子を裸にしてヌードを描いたりするので、猥褻罪で逮捕されます。けれど、そんなシーレに愛想をつかすこともなく、保釈金を払い、彼の芸術性を、周りの人に問いていきました。

社会的地位ための結婚に身を引く

シーレは浮気だけに留まらず、今度は良家の子女と結婚すると言い出します。理由は「結婚は社会的に許される人間」とするものだからです。

が、勿論それだけではないでしょう。この結婚の相手、エーディトは、やさしく母性あふれる女性で、無口であまり表情をださないヴァリーとは正反対の性格にも惹かれたのではないかと、思われます。

自分の芸術の評価の上がってきたシーレにとって、家出娘の素性のわからないヴァリーといるより、良家のお嬢さんのほうが、ずっと社会的地位は上がります。

ヴァリーもそのことは、良くわかっていたのでしょう。エーディトがシーレと別れるように説得に来た時、黙って彼女の話を聞くだけで、一言も口を開きませんでした。

ヴァリーは愛するシーレのために、何も言わず去っていったのでした。

従軍看護婦になり病死する

シーレはエーディトと結婚してからも、未練たらしく、ヴァリーと二人だけで夏のバカンスを過ごそうなどと、提案してきます。しかし、ヴァリーはきっぱりとその申し出を断り、二度とシーレの前に姿を現さなかったのは、あっぱれです。

その後、ヴァリーは第一次大戦の野戦看護婦として、戦地を廻り、クリスマスの前に猩紅熱で死亡しています。24歳の若さでした。

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まとめ

愛する男性のために、耐えて、忍んで、尽くしたヴァリーは、まるで演歌にでてくる女性のようです。

男性のいいなりのままに、自分の人生をながされ、ダメンズに尽くし、不埒な行動に目をつぶり、相手のエゴのために別れる。そしてその後は、社会貢献に専念する彼女の人生は、現代では稀なことでしょう。

けれど、シーレの絵の多くにヴァリーが描かれていたことや、不遇であってもシーレといたヴァリーの間には、一つの形としての愛があったには確かなことだと思います。 二人の間には、それぞれの「孤独」があり、それを埋め合うために愛し合ったのではないでしょうか?

 

エゴン・シーレを知りたい方はhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%AC

 

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