とかく昔の芸術家というものは、愛人をたくさん作りあきたら捨ててしまうという印象があります。ピカソなんかはその代表的な「偉大な芸術家、しかし男としては最低」といった人物でしょう。
「接吻」で有名なクリムトも、常時5〜6人のモデルと同居し、モデルのすべてが愛人であったと言われています。けれど、彼の絵を見てみると、女好きではあったのだけれど、ピカソとは違って女性への尊厳が感じられます。
クリムトは避暑にいくときも、最愛の恋人やモデルを連れてあるいたといわれています。そんなクリムトの「アッパーオーストリアの農家」からの想像のショートストーリーです。
「今夏」
引用元:https://arthive.com/gustavklimt/works/
村の外れにある古びた空き家に、幽霊がでると噂が立った。
村人がその家の前を通りかかると、小さな窓から、長い金髪の女性が覗いていると言う。
しかし別の村人は、巻き髪の赤毛だったと言うし、また違う村人は短い黒髪だったとも言う。
以前に見かけたことがある、ということだけが幽霊の共通点だった。
その家は名のある画家が所有し、夏の間だけ、アトリエとして十数年、使っていた。
画家は常にモデルと共に、その家を毎年訪れた。
モデルは年ごとに違った女性で、同じモデルを連れてくることは二度となかった。
どの女性もとても個性的で美しく、画家を心から愛していた。
しかし、昨年高齢だった画家は亡くなり、古びた家はひっそりと静まり返っている。
今夏、空き家の庭には、色とりどりの多種の花々が咲き乱れている。
それぞれの花は、妖艶な姿で咲き誇り、甘美な香りを漂わせている。
クリムトの映画
クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代
19世紀末から20世紀初頭のウィーンを代表する画家、グスタフ・クリムトとエゴン・シーレ没後100年を記念して作られたドキュメンタリー。意外なクリムトの事実も知ることができます。