昭和・平成の詩人であり評論家の吉本隆明(よしもと たかあき・りゅうめい)氏。
1960年代、1970年代、日本で圧倒的な影響力を持っていたことや、 文学、社会、政治からテレビ、料理、ネコの世話まであらゆる事象を扱う「思想界の巨人」と言われています。
ここでは、吉本隆明氏の家族を見ていきます。娘が小説家・吉本ばなな、漫画家のハルノ宵子で有ることは知られていますが、他に両親、兄弟姉妹、結婚した妻はどんな人達なのでしょうか。また、吉本氏は家族とどんな関係を作っていたのでしょうか。
吉本隆明のプロフィール
引用元:https://urushi-art.net/hitokoto/2012/yoshimoto/yoshimoto.html
1924年(大正13年)11月25日 – 2012年(平成24年)3月16日)
出身地:東京都月島
学歴:東京工業大学電気化学科卒業
少年時代に通った今氏乙治塾で内外文学にふれ,大きな影響を受けます。インク工場に勤務しながら詩作や評論活動を続け、文学・大衆文化・政治・宗教など、広範な領域で評論・思想活動を行いました。代表著書に「高村光太郎」「言語にとって美とは何か」「共同幻想論」「言葉からの触手」「日本語のゆくえ」など多数。
吉本隆明の両親・兄弟姉妹
吉本氏は父順太郎(32歳)、母エミ(31歳)の第四子、三男として、東京月島で生まれました。
父親は熊本県天草市から転居してきた船大工で、貸しボートのような小さな船から、一番大きいのは台湾航路で運送の航海をするような船を作っていました。祖父ももとは、九州の天草で船大工をしていて、一家そろって月島に移ってきました。全盛期は門前仲町、洲崎遊郭裏、銀座裏、京橋の三吉橋に貸しボート屋までやっていたそうですが、吉本一家は佃島の貧乏長屋に住んでいました。
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1999年に出版されたエッセイ『父の像』で、少し読みにくいのですが、吉本氏の父親について書かれています。
吉本氏は、父親の仕事が下り坂になっても見下したりはしていなかったものの、時代の敗者を感じていたようです。しかし、二人の仲は親密であったと感じます。吉本氏が1960年頃、デモに参加し警察に逮捕されたとき、父親は警視庁に単身出掛け、面会を求めたこともありました。父親が亡くなったのは、吉本氏が40歳のときですが、そのとき、父という存在の「息苦しさ」が実は情愛や善意からくるものであると理解したようです。
吉本氏は兄2人姉1人妹1人弟1人の6人兄弟です。
吉本隆明の結婚した妻
吉本隆明氏の妻・吉本和子さんは、1927(昭和2)年4月28日の生まれ。3歳年下です。
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1957年 吉本氏33歳のときに大恋愛の末、和子さんと結婚しています。
和子さんにとって、吉本氏との結婚は再婚であり、ふたりが知り合った頃は既婚者で、俳人でもあり句集も上梓しています。
和子さんの夫は吉本氏の友人でもあったので、苦悩する三角関係の恋愛でした。結局は、吉本氏と同棲を始め、和子さんが正式離婚をした同年に結婚しています。
結婚後は、吉本氏の編集発行している『試行』の事務を担当していましたが、創作者としては活動をしなかったようです。理由は、「一つの家に二人の表現者がいては、家庭が上手く行く筈がない」という吉本氏からの提言でした。
和子さんは良妻賢母として吉本家を守った人で、吉本氏が2012年3月に亡くなると、同年10月にあとを追うように老衰でなくなりました。
吉本隆明の長女 ハルノ宵子
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ハルノ宵子さんは、1957年12月28日 生まれで、漫画家。本名は吉本 多子(よしもと さわこ)さん。
コミック『虹の王国』『アスリエル物語』の執筆があり、愛猫家雑誌『猫びより』「ハルノ宵子のシロミ介護日誌」も連載していました。
2014年、父母、妹とともに暮らした自宅を改装して飲食店「猫屋台」を開業。
2012年春に吉本氏が亡くなると、は亡くなりましたが、ファンの方が自宅に吉本氏を慕って大勢訪れるようになり、「猫屋台」を始めたそうです。
引用元:https://tennenseikatsu.jp/_ct/17346479
猫屋台は「住宅+記念館+カフェ+猫のための場所」のようなかんじで、完全予約制です。
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吉本隆明の次女 吉本ばなな
引用元:https://ameblo.jp/kaeruchan-usagichan/entry-11198401184.html
吉本ばななさんは、1964(昭和39)年、東京生まれ。本名 吉本 真秀子さん。
日大学芸術学部文芸学科卒。1987年「キッチン」で「海燕」新人文学賞、1988年単行本『キッチン』で泉鏡花文学賞、1989年『TUGUMI』で山本周五郎賞を受賞。日本人なら一冊は吉本ばななさんの作品を読んだことがあるはずです。また、海外での評価も高く、イタリアのスカンノ賞、フェンディッシメ文学賞を受賞しています。
ロルフィングという整体法をする身体調整師の田畑浩良さんとは、事実婚です。2003年に息子を出産し自由に学ぶサドベリースクールに通っています。
吉本家は意外にも普通?
引用元:https://tennenseikatsu.jp/_ct/17346479
家族全員が創作・表現者である家庭は、多少エキセントリックなイメージがありますが、娘のハルノ宵子さん、吉本ばななさんからみると、ごく普通の家庭出会ったと語っています。
父、吉本隆明氏は、気がよくて、損ばかりして、おっちょこちょいで、思いやりがあり、普通に老い、普通にボケて、最後まで家族の幸せを願いながらを生涯を閉じたそうです。また、母、和子さんは、家族の中で一番強く、可愛らしい人だったとか。
もちろん、この偉大な両親に娘さんたちの人生は大きな影響を受けたわけですが、それは、ごく普通の家庭で、たくさんの愛情に包まれながら育って人たちと、何ら変わりがなかったのではないかと感じます。