100歳を超えても精力的に制作活動を続ける美術家 入江一子(いりえ かずこ)さん。
日本の女流画家として先駆者であり、高齢になっても様々なアジアの地域を取材旅行し、色彩豊かなシルクロードがテーマの作品を制作しています。
ここでは、入江一子さんのプロフィーリ、学歴、経歴、賞歴、作品や展覧会、記念館を紹介します。
入江一子のプロフィール 学歴・経歴・賞歴・家族
引用元:https://www.suginamigaku.org/2015/02/irie-silk-road-museum.html
生年月日:1916年5月15日
出身地:山口県 もしくは韓国・大邱
学歴:女子美術学校
入江一子さんは、先祖は長州藩の武士の家系で父親は大邱で貿易商を営んでいた家庭に長女として生まれました。 母親は芸術的な感性が豊かな人で、特に手芸に堪能だったそうです。妹が二人います。
子供の頃から絵 の才能があり、小学6年生の時に描いた、静物画が昭和の御大典で天皇に奉納。
女学校4年生の時には、朝鮮美術展の入選作「裏通り」がフランス総領事に買い上げられました。
画家になると決めていた入江さんはパリ留学を望みますが、当時の政治的状況のため実現せず、日本の女子美に入学するため親族の反対を押し切り、たった一人で日本に来ました。学校では林武氏と知り合いその後に師事。
林 武(はやし たけし、1896年 – 1975年)
東京都出身の洋画家。 東京歯科医学校、日本美術学校を中退するも、二科展で 樗牛賞を受賞してから、本格的に画家として活動。独立美術協会を創立する。は武臣(たけおみ)といった。原色を多用し絵具を盛り上げた手法で女性や花、風景などが特徴。
『梳る女』1949年 引用元:https://4travel.jp/travelogue/10589760
女子美時代から、現地を見て創作する熱意が強く、伊豆半島を隅々まで写生してまわりました。
卒業後、東京丸善本店図案部に就職し、1 日本の強い影響下にあった満州ハルビンやチチハルで個展を開催。
1945年 、東京の空襲を避け、大邱女子商業学校に奉職しますが、日本の敗戦により9月帰国し、父祖の故郷山口県須佐町で暮らします。
三岸節子氏、佐伯米子氏とともに女流画家協会を立ち上げ、女性画家の芸術的自立を実現させようと活躍しました。
その後、30年に渡り、シルクロード、アジア、ヨーロッパを精力的に取材し次々と作品を制作していきます。最後の取材旅行はモンゴルで84歳でした。
現在は東京都杉並区阿佐ヶ谷の自宅兼アトリエで、1時間描いては1時間寝るという生活形式で、制作をしています。
主な受賞歴
- 1953年 独立賞「魚」
- 2013年 女子美栄誉賞
入江一子の作品
「回想・四姑娘山の青いケシ」 2017年 引用元:https://www.tyojyu.or.jp/net/interview/itsumogenki-imamogeneki/
引用元:https://www.pinterest.com/pin/738449670122895715/引用元:http://iriekazuko.com/index_en.html
引用元:https://www.gallery-kasagi.com/artists/irie/
引用元:https://www.gallery-kasagi.com/artists/irie/
引用元:http://www.dokuritsuten.com/member/0a2_irie/78.html
引用元:https://osamu-kurosaka.hatenablog.jp/entry/20170717/
入江一子の展覧会・記念館
入江一子 シルクロード記念館
入江さんの自宅の1階を開放し、「シルクロード記念館」としたものです。50点ほどの入江さんの作品、アトリエ、グッズもあり、作品の購入もできます。
住所:〒166-0001東京都杉並区阿佐谷北2-8-19
開館:金・土・日曜日 11〜17時
http://iriekazuko.com/5/index.html
入江一子のシルクロード 青いケシ
引用元:https://4travel.jp/travelogue/10912180
入江さんは50歳を過ぎてからシルクロードの旅をはじめました。その土地の風景に惹かれますが、もっと魅せられるのはそこに住む人々だったようです。人間の頭ほど大きい青いケシがあることを聞いて、1992年、76歳の入江さんは、中国四川省の標高4300メートルのスークーナンシャンへの登山を決行しました。その日は霧が濃く、もう諦めて帰ろうとして時に、薄っすらと晴れてきた霧の合間に、青いケシを見つけたそうです。
上図の「回想・四姑娘山の青いケシ」で、馬に乗っている赤い服の人物は入江さん本人を描かれたそうで、青いケシを見つけた感動が光彩によって表現されています。
今でも毎日キャンバスにむかう入江さんの姿を見ていると、私たちの人生には熱い情熱があれば素晴らしく生きていけることを実感します。