現代美術家のイケムラレイコさんは、女性をテーマとした曖昧な描線の肖像画や風景画、彫刻『ウサギ観音』などが高い評価を得ています。
作品を通してジェンダー、戦争、宗教の問題を取り扱っている活動は、世界的に注目を集めています。
ここでは、イケムラレイコさんのプロフィール、学歴、経歴、賞歴をみながら、作品や展覧会を紹介していきます。
イケムラレイコ 池村 玲子のプロフィール 学歴・経歴・賞歴
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=KqjHH6kfP88
生年月日:1951年8月22日
出生地:三重県津市
学歴:大阪外国語大学スペイン語学科卒業後、セビリア美術大学
居住地:ドイツ ベルリン、ケルン
国籍:スイス
配偶者:フィリップ・フォンマット(建築家)
イケムラさんは、1972年にまで大阪外語大学を卒業後、スペインのセビリア美術大学に留学しました。その後、1979年、池村はチューリッヒに移り住み、市民権を獲得します。4年間働きました。
最初の個展は、1983年にドイツのボンで開催され、同年ニュルンベルク市からの招待で、現代美術家としてニュルンベルクに滞在。
その後も、ギャラリーや公共機関、美術館で数多くの個展を開催します。1985年に、彼女はケルンに移り、この頃から彫刻も制作していきます。
1991年からベルリンの美術学校で教鞭をとり、イケムラさんの作品は国際的に認めら、一流美術館に展示されています。
主な受賞歴
- 2020年:芸術選奨文部科学大臣賞
- 2008年:アウグストメシェンデの都市賞、ドイツ
- 2007年:イゼルローン美術賞、イゼルローンの貯蓄銀行、ドイツの市民財団
- 2002年:ヨゼフ·アンニアルバース財団、アーティストレジデンシー、ニューヘイブン、コネチカット、アメリカ
- 2001年:批評家賞、批評家のドイツ協会、ベルリン、ドイツ
- 1988年:審査委員賞、オリジナルのグラフィック、グレンヘン、スイスの国際トリエンナーレ
- 1983年:から1984年: “ニュルンベルクシティ引き出し”、ファーバーカステル&ニュルンベルクの街のアーティスト居住助成
- 1982年:カイザー、デュッセルドルフ、ドイツの美術賞
- 1981年:スイスのグラフィックアート財団賞、チューリッヒ工科大学 (ETH)チューリッヒ、スイス
- 1981年:チューリッヒ、スイスの街のグラント
出典:ウキペディア
イケムラレイコの作品
引用元:https://ftn-blog.com/2019/01/03/leiko-ikemura-1951/
引用元;https://www.artsy.net/artwork/leiko-ikemura-pink-cloud
引用元:https://www.lacan.com/dickhoff3.htm
引用元:https://www.nevadaart.org/art/exhibitions/leiko-ikemura-poetics-of-form/
引用元:https://art-culture.world/articles/
イケムラレイコさんのサイトでより多くの作品が見れます。
イケムラレイコの展覧会・美術館
2019年に国立新美術館で、「イケムラレイコ 土と星 Our Planet」が開催されました。
引用元:https://spice.eplus.jp/articles/224694
Leiko Ikemura – In Praise of Light(イケムラレイコ展「光を讃えて」)
会場:聖マテウス教会(ベルリン、ドイツ)
聖マテウス教会の窓を光と色で絵画としてデザインしたものです。教会の明るいスペースの中で、暗い戦争の歴史の傷と現在、未来の明るい希望をうつしているかのようです。
イケムラレイコのウサギ観音で何を想うか
2011年の東日本大震災に衝撃を受けたイケムラさんから生まれたのが3メートルを超える「うさぎ観音」のシリーズです。
「ウサギ観音」の表情はそれぞれ違い、涙を流しているもの、微笑みを浮かべるものがあります。少女のような顔立ちで、慈愛と悲しみが漂う造形は、様々な生命の象徴として、救いの女神として制作した、と語っていました。
ではその女神がなぜウサギという動物を選んだのは、ご本人でも「わからない」と詩に歌っていました。(芸術家は自分がなぜこのモチーフを使ったから、はっきり説明できない場合がありますよね)この詩にはウサギが月から降りてきて、この世で悲しむ人たちの身代わりにはなれなくとも、涙を拭ってあげよう、とも書かれています。
中国の伝説によれば、ウサギは月で不老不死の薬を作っているそうです。そのウサギが下界に降りてきて、なぜ共に泣くだけなのか、なぜ半人間のウサギでなくはいけないのか、など私達の想像は奥深く広がっていきます。そこもまら、イケムラさんが望むところのひとつではないでしょうか。
彼女は、現代の美術が映像主流であることを嘆いていました。映像は現代人にとってとても受け入れやすく便利なものです。しかし、その分私達は思考することをおろそかにしています。黙ってみていれば、画面はどんどん移り変わり、作者の意図さえ語ってくれることもあります。芸術は鑑賞者の感情や思考があってこそ完成するもので、作者の考えを押し付けるものではない、とイケムラさんは語っています。
与えられたものをそのまま受け取らないで、イージーな映像からくる思考のダメージを考えるべきでしょう。今こそ、動かない絵画や彫刻から思考を膨らませて、想像力を鍛え上げる時期にきているのではないでしょうか。
参考:
https://leiko.info/jp/news/
https://kunstmuseumbasel.ch/en/exhibitions/2019/leiko-ikemura https://www.nevadaart.org/art/exhibitions/leiko-ikemura-poetics-of-form/