オランダ黄金時代の画家、ヨハネス・フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」(Brieflezend meisje bij het venster)の作品の上部に、キューピッドが描かれ、別の人物によって塗りつぶされていたことが、ドイツ・ドレスデン国立古典絵画館で発表されました。
- 「窓辺で手紙を読む女」の概要
- なぜキューピッドは上塗りされてしまったのか
- 「窓辺で手紙を読む女」が公開される展覧会はいつか?
などを踏まえてみていきましょう。
「窓辺で手紙を読む女」の概要
フェルメールが多用した点描画法がもちいられている作品ですが、長い間、レンブラントやピーテル・デ・ホーホの作品であるとも言われ、1880年にフェルメールの作品であると特定されました。
製作年は1657年ー1659年と推定され、キャンバスに油彩の83cmx65cmの作品です。
この絵の隠喩は、開け放された窓から「女性が抑圧された環境から逃れたい」という願望を表し、ベッドに置かれた果物は「不義」を意味し、割られた桃は性行為を暗示し、開かれたカーテンと女性のドレスの色が同じなのは無防備な貞操観念を表しているとされています。
既婚女性が夫との結婚生活や封建的な家族関係から逃れたいため、恋人を作り、その恋人から来た手紙を密かに読んでいるというストーリーでしょうか。
キューピッドが塗りつぶされた理由
画面上部の壁にキューピッドが描かれていたことは数十年前に発見されていましたが、フェルメール自身の手で塗りつぶされたとされてきました。
しかし、今回のドレスデン美術アカデミー実験室での蛍光X線検査によって、キューピッドの絵のニスの上に汚れの層があり、何十年か後に、別人によって塗りつぶされたことが判明されました。
また壁の部分に塗られた絵の具は、当時フェルメールが使っていた色よりわずかに暗いものであったそうです。
<引用元:www.theartnewspaper.com>
フェルメールの作品が高価格になったきたのは、彼の死後、1900年から作品がアメリカの渡り始めた頃だったそうです。
当時はレンブラントなどが人気があり、画商が高値で売るために、レンブラント風に見せるため、キューピッドを塗りつぶしたのではないか、と想定しています。
「窓辺で手紙を読む女」の公開予定
<引用元:thearkofgrace.com>
キューピッドはこれまでに半分ほど復元され、全てが露出するのはあと1年はかかるようです。
しかし、ドイツのドレスデンにあるアルテ・マイスター絵画館(Gemäldegalerie Alte Meister)で、半復元の状態で、5月8日から6月16日まで公開されます。
この絵画館には、もう一つフェルメールの作品「取り持ち女」(De koppelaarster)が展示されています。
<引用元:https://ja.wikipedia.org/>
この売春宿が描かれた風俗画はフェルメールにしては異例な作品であります。
そして、左端の男性がレンブラントの描いたフェルメールのポートレートと似ているので、鏡に写った自分の顔を描いたという説が有力です。
アルテ・マイスター絵画館を訪れた際は、この2点の鑑賞は必須ですね。