コンテンポラリー

ラリー・プーンズの作品と展覧会。変化を求める抽象画家。

アメリカの現代美術家 ラリー・プーンズ。 日本ではそれほど知られている作家ではないのですが、1960年代から活躍している常に新しい独自のスタイルを追う求めている芸術家です。

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ラリー・プーンの略歴

Larry Poons - painting

引用元

1937年10月1日 イギリス系アメリカ人の両親のもと、東京で誕生。父親が貿易商だったため、日本に滞在していましたが、数年後には家族と共に、アメリカに帰国。

プーンズが生まれた年は、ピカソがパリ万国博覧会に「ゲルニカ」を発表していて、その後、第二次世界大戦が始まったので、帰国を余儀なくされたのでしょう。

1955年-1957年  プロの音楽家になるため、マサチューセッツ州ボストンニューイングランド音楽院で学びます。

しかし、1959年 フレンチ・アンド・カンパニーでバーネット・ニューマンの展覧会を見て、音楽家から美術家になることを決め、ボストンのタフツ大学美術館付属美術学校に入学。

バーネット・ニューマン(1905年1月29日-1970年7月4日)

アメリカの画家、彫刻家。抽象表現主義、カラーフィールド・ペインティング、アクションペインティング。「ジップ zip」と呼ぶ細い縦線で色面が区切られる絵画がよく知られている。

Barnett Newman

引用元

アート・スチューデンツ・リーグ・オブ・ニューヨークでも学び、その後講師としても勤務しています。

1960年始めに無地の鮮やかな背景に沢山の円や楕円を描くドット絵で世間に知られるようになりました。このオプアートを作成しながらも音楽活動もしています。アンディ・ウォーホルの設立した前衛的ノイズバンド The Druds ではギターを担当していました。

プーンズのドット絵はかなりの人気があったのですが、彼はそのスタイルから離れ、緩やかな抽象絵画に移行しています。これはかなりの批判を浴びました。プーンズは買い手が欲しがるような絵を描き続けるのを嫌い、自分の進化のために作品を創っていきます。反骨精神を持つ現代芸術家として、ドキュメンタリー映画にも度々出演しています。

また16歳のときから、マチレスやデュカティを愛車にするオートバイ好きで、妻と共にレースに参加しています。

Living Color: AHRMA Racer Larry Poons - Motorcycle Classics

引用元

結婚は1981年12月に16歳年下のポーラ・デルシアと。彼女も現代美術家です。

現在、ニューヨーク市に住んでいますが、アリゾナ州サンタフェとニューヨーク州イーストダーハムにアトリエを持っています。ニューヨークのアトリエは、ドキュメンタリー映画「The price of everything (アートのお値段)」で作業の様子と共に映されていました。

ラリー・プーンズ 1960年代作品

60年代初頭は幾何学的イメージのオプアートを多く作成しています。このドット絵は非常に人気があり、プーンズの名を世間に知らしめたものですが、70年代には作風を変えてしまいます。その後もどんどん変化していくのですが、売れる絵をずっと描き続けないというのは画商泣かせでもあります。

Larry Poons - Wikipedia

引用元

Pin on Picture Perfect

引用元

ラリー・プーンズ 1970年代以降の作品

1970年代から、キャンバスの表面に絵の具を注いだり、投げたり、飛び散らしたり、厚く重ねたりするスタイル始めました。またキャンバスのみでなくゴム、ロープ、タイプライターの紙を使用して絵画を構築していきます。

1990年代初頭、プーンズは絵筆の使用に戻り、今日もこの手法を続いています。クラシックを聴きながら、円形のフレームワークに掛けられたキャンバス生地全体にペイントを続けています。

ラリー・プーンズのサイト

ラリー・プーンズの展覧会

2021
Larry Poons/ Frank Stella: As It Was, As It Is, Yares Art, New York

 

Yares Art

生涯の友 フランク・ステラとの共同展。二人とも同じ1960年初頭に名声を上げ、年齢も近く、お互いの芸術を称賛し、支援し続けています。

2022年  DIC 川村記念美術館

「カラーフィールド 色の海を泳ぐ」

プーンズの70年代の作品が展示されていて、「雨のレース」をイメージした和菓子も提供されていました。

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ラリー・プーンズ曰く「アートは値段ではない」

Abstract Expressionism - 2nd Generation: Larry Poons

引用元

ドキュメンタリー映画「アートのお値段」で、プーンズがニューヨーク州北部の雪の中を歩いていきます。薄い絵の具だらけの服を着て、住まいとスタジオを何度も行き来してできたであろう獣道のような細い跡をたどりながら。

このシーンはプーンズがいかにも反骨精神をもった孤高の画家や、抽象絵画の生きる伝説と呼ばれているを映し出しているようです。

作品が高価で取引されているにも関わらず、数年たつと新しい手法とスタイルを作り出して、一つのところにとどまることを嫌う彼を誰にたとえたら、一番ふさわしいのでしょうか。

プーンズはアートの価値はその作品が売れた値段と同等ではない、と言っています。自分にとっての真実の追及がアートであり、お金では換算できないもの、芸術家が作品の値段を決めているわけではないとも語っていました。

しかし、こう言えるのも彼の作品がすでに高値で売れていて、創作活動において十分な資金があるということも含まれているのでしょうね。ただプーンズは拝金主義者ではなく、世評に構わず変化を求めるアーティストであることは確かです。

ここ数年では明るい様々な色を使って、細筆で根気よく大きなキャンバス布にペインティングしています。この抽象画は完成し展示されると、観賞者のイマジネーションだけでなく、実際になにかの形が絵の中に存在している不思議な作品ばかりです。

参考1

参考2

参考3

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