現代美術

サミュエル・メスキータの経歴・作品・価格・展覧会。エッシャーの薄幸の恩師。

19世紀末から20世紀前半のオランダの版画家 サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ  Samuel Jessurun de Mesquita。

戦後はほとんど忘れられてしまった存在ですが、彼は版画だけでなく、オランダのデザイナーとして活躍しており、マウリッツ・エッシャーの師でもありました。

ここでは、メスキータの経歴、幻想的、ユーモラス、怪奇的、そしてデザインセンス溢れる作品を見ていきます。また作品価格、展覧会や美術館も紹介します。

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メスキータのプロフィール  学歴・経歴・生涯

Samuel Jessurun de Mesquita, Large self-portrait, head & shoulders, hand  under moustache | London Original Print Fairメスキータ自画像  引用元:https://londonoriginalprintfair.com/viewing-room/27/works/

生年月日:1868年6月6日

没年:1944年2月11日  享年75歳

出身地:オランダ アムステルダム

メスキータは、1868年6月6日にアムステルダムに住んでいるユダヤ人の家庭に生まれました。セファルディ派のコミュニティのメンバーでありましたが、同時代のほとんどの人と同様に、厳格に信仰を守るということはしていませんでした。

ヘブライ語とドイツ語の中等学校の教師である彼の父親は、メスキータが5歳のときに亡くなってしまいます。

14歳のとき、芸術的を追求するために王立芸術アカデミーに申請しましたが、拒否されました。ひどく失望した彼は、現役の都市建築家に弟子入りしました。彼は2年間働いた後、自分で建築家になるつもりで専門学校に入学。しかし、彼は教育学に目を向け、1889年に教師の資格を取ります。

1890年代に入って、メスキータはアートに専念し、さまざまな技術や媒体を試しました。主に木の彫刻で知られていますが、エッチング、リトグラフ、水彩画、ドローイングも制作しました。モチーフも様々で、鳥、エキゾチックな動物、植物や花たちを、ユーモラスで不気味な幻想的な表現で制作します。メスキータの最も優れた作品は、彼自身の自画像であるとも言われています。

1902年からはハーレムの美術学校の教師となり、建築装飾美術学校でも多くの学生を指導しました。その中にエッシャーがいて、彼はメスキータの作風から大きな影響を受けました。

1940年、オランダにナチス・ドイツが侵攻した時、メスキータはすでに健康を害しており、作品はスケッチが大部分で、人里離れた生活を余儀なくされました。

1944年の冬、1月31日または2月1日、占領中のドイツ軍は、メスキータ一家の家に入り、彼と彼の妻エリザベス、息子ヤープを逮捕しました。アウシュビッツに輸送されたメスキータとエリザベスは、2月11日の到着から数日以内にガス室に送られました。息子はは3月20日にテレジエンシュタットの強制収容所で亡くなりました。

教え子エッシャーやメスキータの息子の友人たちは、メスキータの家に残っていた作品を救い出し、戦後彼らの回顧展を開催しています。

メスキータの作品と価格

Samuel Jessurun de Mesquita - Museum Boijmans Van Beuningen引用元:https://www.boijmans.nl/en/collection/artists/9364/samuel-jessurun-de-mesquita

Group of people by Samuel Jessurun de Mesquita on artnet引用元:http://www.artnet.com/artists/samuel-jessurun-de-mesquita/

Prints – The Public Domain Review引用元:https://publicdomainreview.org/shop/fine-art-prints/artist/samuel-jessurun-de-mesquita

Samuel Jessurun de Mesquita | Sitting nude with calla lillies (1912) |  MutualArt引用元:https://www.mutualart.com/Artwork/Sitting-nude-with-calla-lillies/CD7098A9FD93D73B

Sneeuwuil, Samuel Jessurun de Mesquita, 1927 - Rijksmuseum引用元:https://www.rijksmuseum.nl/en/collection/RP-P-1931-1475

メスキータ Samuel Jessurun de Mesquita | ShareArt引用元:https://www.share-art.jp/event/views/273838

1998年アムステルダム クリスティのオークションでは、約104万円(最高値)で版画が落札しています。メスキータの作品はこれほどセンスの良い美しいものであっても、アート・ワールドでは人気があまりないようです。しかし、逆にオークションに出た場合、購入できそうな価格なので、メスキータファンなら狙い目なのかもしれません。

メスキータの展覧会・美術館

2019年にメスキータ展が東京ギャラリーステーションで開催されました。

日本の美術館ではメスキータの作品を所蔵してませんが、メトロポリタン美術館やホロスコープ博物館、母国オランダなど海外でメスキータの作品をみることができます。

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メスキータの魅力

Thomas Ragon on Twitter: "Samuel Jessurun de Mesquita (1868-1944)… "引用元:https://twitter.com/thomasragon/

メスキータの作品は、日常の情景や、近所のアルティス動物園の動植物からインスピレーションを得て、制作されています。

彼は、好んでエキゾチックな有蹄動物や鳥をモチーフにしました。太い線を主流とし動気の少ない構図は、動物の肖像画のようにも見えます。本質を描きながら感覚をもとにした作品は、似顔絵のようです。

非写実でも抽象でもなく、被写体を正確に捉える構図に熟知し、そのセンスの良さにぐっと引き込まれるのではないでしょうか。線の太細から織りなす版画の魅力は勿論のこと、現代美術では味わえない優美な雰囲気を味あわせてくれます。非常に革新的ではなかったので、エッシャーの師として名はあがることが多いですが、この時代でのメスキータの手法は大きな称賛を得ています。

もし、第二次世界大戦がなければ、メスキータは生き延びることができ、私達にもっと多くの洗練された豊潤な作品を見ることができたでしょう。

参考:

https://www.mutualart.com/Exhibition/Samuel-Jessurun-de-Mesquita-/AC52A3BE731644A1

https://krollermuller.nl/en/samuel-jessurun-de-mesquita-lion

https://www.mutualart.com/Artist/Samuel-Jessurun-de-Mesquita/DF70B0BC0240D41B/Biography

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