批評

中野京子の経歴・講演・本を紹介。「怖い絵」は本当に怖のか?

ドイツ文学者、西洋文化史家、翻訳家である中野京子(なかの きょうこ)先生。

芸術にも造詣は深く、著書『怖い絵』シリーズが大ヒットし、新聞や雑誌の連載を執筆したり、テレビの美術番組にも出演しています。

ここでは、中野京子先生のプロフィール、学歴、経歴、賞歴、著書や講演を紹介します。

人気の『怖い絵』に出てくる絵は、本当に怖いのでしょうか?

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中野京子のプロフィール  学歴・経歴・賞歴

開催中止】日比谷オペラ塾 特別講演会 中野京子が語る「歴史の中の ...引用元:https://www.library.chiyoda.tokyo.jp/information/20200414-_1_7/

出身地:北海道

学歴:早稲田大学大学院修士課程修了

早稲田大学講師

中野先生の生年月日は公表されていませんが、1950年代生まれであるようです。作家、ドイツ文学者、西洋文化史家、翻訳家であり、西洋の歴史や芸術に関する雑誌連載、書籍などの執筆、講演、テレビ出演など幅広く活躍しています。

子供時代は、ごく普通のサラリーマン家庭に育ったそうです。祖父宅の仏間には、ご先祖の遺影がズラリと飾られていて、どれも同じように見えたそうです。しかし、あるとき叔母がその1枚を指し「この女の人は駆け落ちしたんだよ」と言いました。そのことが、他の女性と似たような顔立ちなのに、その女性が特別ように見え、また他のご先祖にもそれぞれの背景や生活があることを感じとり、肖像画や歴史に興味を持ち始めたとか。

早稲田大学大学院修士課程を終え、母校で西洋文化史などを教えていたころには、小説家を目指したこともあります。ミステリー作家になりたくてカルチャーセンターにも通い、江戸川乱歩賞の最終候補作に残ったこともありました。

その後、オペラに関する著作などを発表していたとき、ある絵画との運命の出合いがありました。

ジャック・ルイ・ダヴィッドのスケッチで、処刑台に連行されるマリー・アントワネットを描いたものです。

ジャック・ルイ・ダヴィッド 1748−1825

フランスの新古典主義の画家。18世紀後半から19世紀前半にかけて、フランス史の激動期に活躍した、新古典主義を代表する画家。ルイ16世からの注文も受けていたが、フランス革命後はナポレオンに庇護された。

サン=ベルナール峠を越えるボナパルト 1801  引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/

3/15 マリー・アントワネットを描いた2人の画家 | 29年ぶりに本帰国 ...処刑を待つアントワネット 引用元:https://ameblo.jp/hiro-1/entry-11101965137.html

このアントワネットが非常に醜く描かれていることに画家の悪意を感じ、歴史的背景を調べていくと、恐怖と美とは相性がいいことにも気付きましたそうです。これが『怖い絵』を書くきっかけとなっています。

プライベートでは、携帯は持たない、テレビも見ない主義で、映画鑑賞がご趣味という古典派?で、淫らな風潮に惑わされない性格が伺えます。

中野京子の講演・セミナー

2020年の中野先生の講演は、いくつも予定されていましたが、コロナのために延期になっています。

最新情報は中野先生のブログをご覧ください。

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中野京子の本

怖い絵 死と乙女篇

[中野 京子]の怖い絵 死と乙女篇 (角川文庫)全身にみなぎる憤怒と威厳、「皇女ソフィア」―凄絶な姉弟喧嘩の末に、権力を握ったのは?甘やかな香りが漂う、ボッティチェリの最高傑作、「ヴィーナスの誕生」―美の背後に秘められた、血なまぐさい出生の物語とは?自らを死神になぞらえた、「死と乙女」―実際に画家とモデルを襲ったその後の運命は?名画に秘められた人間心理の深層を鋭く読み解く22の物語。  出典:アマゾン

「怖い絵」シリーズの一冊で、歴史的解説と考察です。殆どの作品はグロテスクな怖い絵ではなく、乙女がいない作品もあります。

「怖い絵」シリーズはちょっと物足りない本もあり、当たり外れがありますが、この本はおすすめです。美術史の知識がなくとも読める美術本は、美術ファンにとっては少々陳腐な解説の本もある中で、これは万人が楽しめる一冊です。構図や画材についての詳細説明はありません。しかし、歴史的背景からみた画家の立場や、肖像画の人物のエピソードなど、さすが西洋文化しの専門家だけあって、楽しみどころが満載です。また女性目線ならではの、チクッとしたシニックさがなんとも小気味がいいものです。

画家とモデル―宿命の出会い―

[中野京子]の画家とモデル―宿命の出会い―

生涯独身を貫いた画家サージェントによる黒人青年のヌード。身分違いの女公爵への愛のメッセージを絵のなかに潜ませたゴヤ。遺伝的疾患のために「半人半獣」と呼ばれ差別された少女を情愛をもって描いたフォンターナ。リアリズムの巨匠ワイエスが15年にわたり密会し描いた近隣の人妻。絵に画家が刻み込んだ、モデルとの深淵なる関係。 出典:アマゾン

画家とモデルの関係は鑑賞者にとって気になるところ。学者ならではの詳細事情の暴露?もあり、楽しく読み勧めることができる本です。

名画に見る男のファッション

[中野 京子]の名画に見る男のファッション (角川文庫)

「短パンで脚線美を誇示してハイヒールを履く心情」「結婚記念の肖像画でコスプレをしている理由」「男性らしさを強調する下着の秘密」―絵画30点に描かれた当時の男性ファッションの流行と、男の美への執念を、大ヒット「怖い絵」シリーズの中野京子が鮮やかに斬る。男たちが暑さにも痒みにも耐え頑張る様子には、古今東西まさに“オシャレは我慢”だと実感!美術ファンもファッションマニアも楽しめます。  出典:アマゾン

正直なところ美術ファンにとっては物足りない内容です。しかし、男性のファッション史を手早く知るのは、この本はおすすめです。こちらも女性目線なので、男性の可愛らしさやおバカさが感じられる一冊ですので、女性なら一度読んでみるといいと思います。

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