批評

宮下規久朗【美術史家】の経歴・本・講演会。美術史の楽しさを説く。

美術史家、神戸大学大学院人文学研究科教授の宮下規久朗(みやした きくろう)先生。

専門のイタリア美術はもちろんのこと、世界中の現代アートにも及ぶ造形の深さが、著書や講演を非常に興味深いものにしています。日本で一番人気の美術史家であり、講演チケットが当日完売されてしまうほどです。

ここでは、宮下規久朗先生の経歴、学歴、賞歴、本や講演会を紹介します。

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宮下規久朗のプロフィール  学歴・経歴・賞歴

ニュース詳細|関西外大引用元:http://www.kansaigaidai.ac.jp/news/detail/?id=113

生年月日:1963年8月16日 

出身地:愛知県名古屋市

学歴:東京大学文学部美術史学科卒業、同大学院人文科学研究科修了

1988年にイタリアのシエナ大学に留学。
1989年 1月 兵庫県立近代美術館学芸員。
1992年 4月 東京都現代美術館学芸員。
1995年10月 神戸大学文学部助教授
1998年 3月-1999年1月 文部省在外研修員としてローマ大学美術史研究所で研究
2007年 4月 神戸大学大学院人文学研究科准教授
2013年 同大学教授

主な受賞歴

  • 1999年 5月 第 6回鹿島美術財団賞 
  • 2005年 9月 第10回地中海学会ヘレンド賞      
  • 2005年12月 第27回サントリー学芸賞

宮下先生は、第27回サントリー学芸賞という権威ある賞を受賞して、美術界のエリートと呼べるでしょう。そして美術ファンでなくても、先生の著書や講義は、わかりやすく興味深い内容なので、講演会の予約は数日で毎回いっぱいになってしまうほどの人気ぶりです。

宮下先生は、外見は強面なのですが、ファッションセンス溢れるダンディな服装や、ほんの少しだけプライペートを入れる語り口が、魅力のひとつにもなっているようです。

宮下規久朗の講演会

美の旅―アートの達人になる

NHKカルチャー 京都教室

7月10日 「カラヴァッジョ」神戸大学大学院教授 宮下規久朗

https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_461762.html

コロナの影響で2020年後半の講演、セミナーの予定がはっきりしていないようなので、決定した講演があれば追記いたします。

宮下規久朗のおすすめの本

美術の誘惑

[宮下 規久朗]の〈オールカラー版〉美術の誘惑 (光文社新書)

美術は、単に優雅な趣味の対象ではなく、社会や文化全般に強く関係する。政治経済と深く関わり、生老病死を彩り、人の欲望や理想を反映する―。西洋でも東洋でも、美術は歴史の局面で重要な役割を果たしてきた。そんな美術の誘惑についての、一期一会の物語、図版125点収録。 出典:アマゾン

宮下先生の深い知識と審美感がすべての分野にわかり、オールマイティパワーに脱帽します。娘さんを亡くした数年後の本であり、随所に私的な娘さんへの思いが書かれていて、美術史家以外の宮下先生の一面も覗ける一冊です。

欲望の美術史

[宮下 規久朗]の〈オールカラー版〉欲望の美術史 (光文社新書)美術を生み出し、求めるときの様々な欲望に光を当て、美術というものをいろいろな観点から眺めたエッセイ。世界的な名作から、通常は美術とは目されない特殊なものまで様々な作品を扱い、四つの観点から、「美が生まれる瞬間」を探る。  出典:アマゾン

欲望と美術がどのように関わっているか4つの章に分けて解説しています。東西の美術の原点から進化発展も知ることができ、宮下先生ならではの視点で面白さは抜群です。

美術の力~表現の原点を辿る~

[宮下 規久朗]の美術の力~表現の原点を辿る~ (光文社新書)私は30年以上にわたって毎年のように西洋の美術作品を巡って歩いてきたが、美術作品も、それが位置する場所の力と相まってオーラをまとうようである。(中略)無数の眼差しが注がれてきた美術作品は、巡礼者の信仰を吸収した聖遺物と同じく、膨大な人々の情熱と歴史を宿し、あるべき場所で輝きを放っているのである(「まえがき」より)。イスラエルで訪ね歩いたキリストの事蹟から津軽の供養人形まで、本質を見つめ続けた全35編。  出典:アマゾン

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美術史を知る意味とは

「教養を磨くために美術を知るには、やはり美術館に足を運んで本物を観る。そして、知識も仕入れる――。この2つがあれば、どんな人でも、美術が好きになります。どちらかだけだと、やはりつまらないですよ。知識なしに、いきなり本物を観れば唖然とするだけかもしれない。だから美術史について書かれた本を読む…。そこです」と宮下先生は語っています。

特に美術に興味を持っていない人が、気まぐれで行った美術館で、心揺さぶられるほどの作品に出会うことはめったに無いでしょう。

しかし、たまたま行った展覧会で気になる絵や彫刻、工芸品は何点かあると思います。そうしたときに、家でその作品のことや作者や時代を少し調べたりすることはないでしょうか。そして、そこから興味が深まり美術品に敏感になっていきます。今度美術館に行くときは、多少なりとの知識を持って鑑賞しますから、違った視点や感じ方ができるわけです。

近年、教養として、ビジネスマンとしての美術の知識を進める傾向にあります。しかし、そういった損得なしで、自分の心地よい趣味として美術史を学んでいくことが、人生を楽しく生きる秘訣のひとつだと感じています。人間にとって知ることは喜びであり、感動は生きる原動力なのですから。

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