日常生活の中に生と死の儚さを表現する写真家、川内倫子(かわうち りんこ)。
本記事では、川内倫子氏の経歴、賞歴、作品、写真展を紹介します。
1枚の写真から、生と死の儚さ、この世の循環を感じさせる作品を見ていきましょう。
川内倫子のプロフィール、経歴
<引用元:https://www.widewalls.ch/>
氏名:川内倫子 (かわうち りんこ)
生年月日:1972年4月6日
出身地:滋賀県
居住地:東京都
学歴:成安女子短期大学卒業
川内氏は、短大でグラフィックデザインと写真を学び、卒業後は商業写真家として広告などを手がけていました。
2001年に「花子」「うたたね」「花火」の写真集を出版。
引用元:<https://www.amazon.co.jp/>
この「うたたね」のサブタイトルは、ドキリとするものですが、ローライフレックスによる正方形の画面が柔らかい色調とマッチし、生と死を考えさせられる表現と高い評価を得ています。
川内氏の写真は神道や日本の民族的宗教に根ざしていると、海外では言われています。
地球上のすべてのものは精神を持っているということをもとに、日常の些細もないものにも大きな力が働いていて、「過ぎ去ったときにちらっと見える小さな出来事」を撮影し、刹那的な感覚を伝えています。
川内氏の作品が海外では「俳句」といわれることについては
「海外の人にはよく、あなたの写真は俳句でしょ?と言われます。最初はピンときませんでしたけど、最近は、たしかに俳句かも!と思うようになりました(笑)。自然や日常のモチーフを使って、ある形式美、様式美にはめていくという手法が、彼らの俳句に対する解釈と近いのかもしれません。欧米の一神教ではなく、神道的なもの、八百万の神様がいるという日本の文化や、さまざまなところに崇高なものを発見するという感性を作品に見いだして解釈をしてくれることが面白いなと思います」 出典:https://topmuseum.jp/
と語っています。
動画でインタビューといくつかの作品を御覧ください。
受賞歴
- 1997年、第9回ひとつぼ展グランプリ受賞。
- 2002年、写真集「うたたね」「花火」などで第27回木村伊兵衛写真賞受賞。
- 2009年、ニューヨーク国際写真センターインフィニティアワード新人賞受賞。
- 2012年、王立写真教会 名誉フェローシップ賞
- 2013年、個展『照度 あめつち 影を見る』で芸術選奨新人賞受賞。第29回東川賞国内作家賞受賞。
川内倫子の 写真展
川内倫子『as it is』刊行記念展覧会
引用元:http://post-books.info/news/2020/09/04/exhibition-rinko-kawauchi-asitis
会期:2020年9月4日(金)~2020年10月11日(日)
会場:POST
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3
時間:11:00-19:00
新作作品集『as it is』を刊行を記念した展覧会。自身の出産から約3年間、子育てのなかで出会った子供の姿や、身近な風景を撮り溜めて構成した新作写真集です。
川内倫子 写真展
as it is Rinko Kawauchi Solo Exhibition
会期:2020年11月12日(木) – 2020年12月5日(土)
会場:RAURAUJI /らうらうじ
〒550-0002 大阪府大阪市西区江戸堀1-23-14
『as it is』は、川内倫子が自身の出産から約3年間、子育ての中で出会った子どもの姿や身近な風景を撮りためて構成した新作写真集となります。ささやかな物事に宿る生命の美しさと、その気づきから積み重なっていく日々。何気ない日常の切実さを改めて大切に思う現在だからこそ、これまでの風景が違う層を見せながら、新しい時代を生きる私たちに寄り添います。刊行を記念し、写真展を開催致します。 出典:
http://raurauji.jp/exhibition/
http://raurauji.jp/exhibition/
川内倫子の作品への所感
View this post on Instagram
引用元:https://www.instagram.com/p/BvsbnouAV1g/
春の日差しが部屋に差し込む、ごくあたりまえな風景。
この写真を見て、あなたは何を感じるだろう。
板張りの白い壁の部屋。窓に掛かった薄い二重のカーテン。窓の外には満開の桜が写っている。
少し肌寒くも感じるが、午後の日差しは明るく風もない。部屋の中も外も、しんと静まり返っている。
誰もいない部屋で一人桜をぼんやりと見つめる。
過去は靄がかかって思い出せないのに、頭の中に未来がよぎる。
来年の今頃は、何をしているのだろう。私はここに存在しているのだろうか。
不安と言うには頼りないほどの「死」を意識する。
今ここが現実であるのに、心は虚の世界へ漂っているような気分になる。
時間が止まっている。
この瞬間、生きていることさえ忘れてしまいそうな、無の感情に落ちてしまいそうにならないだろうか。
そして同時に、あなたは生の儚さとその意味を見つけ出すだろう。