コンテンポラリー

有元利夫の経歴・作品・展覧会について。早世画家の天上の表現。

イタリアのフレスコ画に感銘を受け、岩絵具や顔料を使用し、静寂の温かみを表現した画家 有元利夫(ありもと としお)氏。

32歳で安井賞を受賞し、作品の知名度が上がりつつある中、38歳という若さでこの世を去ってしまいます。

ここでは、有元利夫氏のプロフィール、経歴、学歴、作品、賞歴、展覧会を見ていきます。簡素で柔らかな色彩の作品は、永続的な穏やかな世界に誘ってくれているようです。

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有元利夫のプロフィール  経歴・学歴・賞歴

有元利夫展 天空の音楽 - 慧喜~Trip of the art引用元:http://eki12.blog.fc2.com/blog-entry-49.html?sp

生年:1946年9月23日

没年:1985年2月24日 享年38歳

出身地:岡山県津山市

学歴:東京芸術大学美術学部デザイン科

有元家は美作菅氏の末裔で、有元利夫氏は兄弟4人の末っ子として、疎開先の岡山県市山市で生まれます。

有元氏が1歳のとき、東京に戻り、小学校の頃から絵に強い関心を持っていました。大学は芸大を目指しますが4浪し、5度目の受験でやっと入学できます。この浪人時代には、版画家の中林忠良に師事していました。

大学在学中にヨーロッパを訪れ、イタリアで伝統絵画のフレスコ画に出会い大きな感銘を受けます。卒業制作に「ワタシのとってのピエロ・デ・フランチェスカ」という10点の連作を作り、大学の買い上げとなります。

絵葉書『私にとってのピエロ・デラ・フランチェスカ』有元利夫@芸大 ...引用元:https://www.geidai.net/postcard/696.php

この卒業年度 26歳のときに日本画科の渡辺容子と結婚。大学卒業後はデザイナーとして電通に勤務しながらも、自宅にアトリエを持ち、絵画制作に打ち込んでいました。

1974年に個展を開催すると大反響で「芸術新潮」に取り上げられます。約3年で電通を退社し画家として制作を専念します。

1978年に 『花降る日』で安井賞特別賞。翌年から「芸術新潮」に『バロックの情景』と題し毎月デッサンを発表します。有本氏はバロック音楽にも造詣が深く、数曲ですが自身で作曲もしています。

1981年は、『室内楽』で安井賞。1983年 には 長男が誕生します。次々と作品を発表していき、順風満帆のようにみえましたが、1984年、肝臓に腫瘍が見つかったため入院。

1985年 、肝臓癌で38年という短い人生の幕を閉じました。

有元利夫の作品

Arlequin of the Clouds by Toshio Arimoto on artnet引用元:http://www.artnet.com/artists/toshio-arimoto/

Toshio Arimoto | Art Auction Results引用元:https://www.mutualart.com/Artist/Toshio-Arimoto/

43 Best toshio arimoto images | Japanese art, Japan art, Art引用元:https://www.pinterest.com/anan3579/toshio-arimoto/

Waiting by Toshio Arimoto on artnet引用元:http://www.artnet.com/artists/toshio-arimoto/

https://id.pinterest.com/fpandana/toshioarimoto/

有元利夫の展覧会

没後35年 有元利夫展 花降る空の旋律(しらべ)」

会期:2020/6/25(木)~ 8/30(日)

会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
TEL.03-3477-9111(代表)

https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_arimoto.html/

立体作品やスケッチ、ごく初期のデザインワークもあわせて展示し、タブローとは異なった有本氏の想像性も知ることができるようです。

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天上へ導く絵画

没後35年 有元利夫展 花降る空の旋律(しらべ) | ザ・ミュージアム ...花降る日  引用元:https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_arimoto.html

有元氏の絵画の中の人物はたった一人であることがほとんどです。その人物が女性であっても、頭が極端に小さく、無表情で、身体はバランスは崩れていますが、ハリのあるたくましい体型です。

上図の女性もこのような女性ですが、異質は全く感じさせず穏やかな女性の優しさをかんじます。空からは光が差し込み、花びらが散っています。花びらが大きく先が赤いということは「輝かしい」という意味のあるアマリリスでしょうか。

この図の説明は、「一人山を登る無垢な女」となっています。螺旋状に作られた山は舞台装置のようにも見え、有元氏ん作品が、ミュージカルであるという評にもうなずけます。

しかし、私にはこの絵はもう少し宗教的な荘厳な印象を受けます。この山は完成された神の許しを得たバベルの塔にもみえます。そして、ひとりの女性画ゆっくりと天空に向かって歩いていきます。薄布の影には誰下がいるように見えるのは錯覚でしょうか。

夭折の芸術家というのは常にドラマチックに描かれますが、もし、そのアーティストが長生きしていれば、次々と進化をしていくのでしょうか。残念ながら若年期に才能を見いだされたアーティストのすべてが、晩年まで揺るぎなく活動していくのは至難の業のようです。例えば、和田三造(1883−1967)のデビュー作『南風』は教科書に載るほど有名で、名作ですが、84歳まで生きた和田氏は『南風』を超える作品はなかったと言われています。

しかし、有元利夫氏に関しては、芸術もプライベートもこれから大輪を咲かせる前に、逝ってしまった気がしてなりません。もし、現在も制作をしていたならば、どのような変化をつげていたかを想像してしまいます。彼の愛したバロック音楽を聞きながら、再度じっくりと作品を鑑賞してみたいと思います。

参考:

http://czt.b.la9.jp/arimoto.html
https://www.art-information.ne.jp/artwiki/artists/view/arimoto_toshio
http://eki12.blog.fc2.com/blog-entry-49.html?sp

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