フィンランドの陶芸に大きな影響を与え、重要な改革者と言われるルート・ブリック(Rut Linnea Bryk)。
本記事では、ルート・ブリュック氏の経歴、作品、家族、日本での展覧会を紹介します。
自然のモチーフや幾何学模様の集合が実に魅力的です。
ルート・ブリュックの経歴と作品
<引用元:https://emmamuseum.fi/>
氏名:ルート・ブリュック Rut Linnea Bryk
生年:1916年10月18日
没年:1999年11月14日 享年84歳
出身地:スエーデン ストックホルム
国籍:フィンランド
学歴:ヘルシンキ セントラルスクール
ブリュック氏は、1939年から1939年の間、学校でグラフィックアートを学び、1942年から、セラミックデザイナーのビルガー・カイピアンと共に、ヘルシンキのアラビア工場で働き始めます。
始めはグリーティングカードのデザイン、本のカバー、セラミックでの色彩のついた入れ物や装飾物を制作していました。
1940年後半から1950年代の作品は、複雑な表現主義的は作品を多く残しています。
<引用元:https://www.japantimes.co.jp/>
“A Donkey in Lion’s Skin” (1957)
多様な色使いと艶出し、艶なしを使い分けコントラストを演出し、主題は聖書のモチーフ、ゴシック様式、ルネッサンス様式が含まれています。
1960年以降は、小さなセラミックタイルの集合で、大規模な作品を作り、幾何学的な抽象表現に変化していきます。
<引用元:https://www.flickr.com/>
” White Mountain ” ( 1970)
タイルの立体的な性質と釉薬の変化を利用して、影、光、反射のあるパターンを作成し、複雑な構図を作っています。<引用元:https://booksandmodern.com/>
” City in the Sun” (1975)
<引用元:https://booksandmodern.com/>
“Ice Flow”(1987−91)
受賞歴
- 1962年 プロフィンランディア メダル
- 1974年 フィンランド国家デザイン賞
- 1982年 フィンランド白薔薇の騎士ファーストクラス
- 1994年 ヘルシンキ大学名誉博士号
ルート・ブリュックの家族
父親 フェリック・ブリュック Felix Bryk
<引用元:https://www.geni.com/>
オーストリア生まれのスウェーデンの人類学者、昆虫学者です。(1882年1月ー1957年1月)
主な研究は東アフリカの人類学研究と、鱗翅目(蝶と蛾)の研究で知られています。
ルート・ブリュック氏は幼少期に父の勤務地であるスウェーデンで過ごし、夏の休暇はフィンランドのラドガ湖畔で過ごしました。
フェリック氏は、趣味と研究をかねて休暇中も湖畔で昆虫採集をしていたので、ルート氏は、生き物へ興味を自然に育んだいき、後年、昆虫や植物が作品のモチーフにもなっています。
ルート氏のミドルネームはリネア(Linnea)ですが、これはフェリックス氏が敬愛するスウェーデンの生物学者、「分類学の父」と呼ばれるカール・フォン・リンネから取って命名したそうです。
母親 アイノ・ブリュック Aino Makinen Bryk
母親は、フィンランド人で画家 ペッカ・ハロネンを従兄弟に持つ芸術家の家系です。(1881年1月〜1955年3月)
両親はルーク氏の子供時代に離婚し、同時に妹も亡くしていましたので、幸せに満ち溢れた幼少期ではなかったようです。
夫 タピオ・ヴィルカラ Tapio Wirkkala
<引用元:https://www.archdaily.com/>
フィンランドのデザイナー・彫刻家(1915年6月〜1985年5月)。
- 1915年 フィンランド、ハンコに生まれる。
- 1933年 – 1936年 ヘルシンキの美術学校で彫刻を学ぶ。
- 1946年 – イッタラ社のデザイナーとして勤務する。
- 1947年 – イッタラ社のデザインコンペに優勝。
- 1951年 – 1954年
- ミラノ・トリエンナーレで三部門グランプリを受賞。1952年、1954年にもそれぞれ入賞する。
- ヘルシンキ工芸大学で教鞭をとる。
- 1985年 – ヘルシンキで死去。
出典:ウィキペディア
ヴィルカラ氏の最も有名な作品の中は、ウォッカボトル(1970 – 2000年)とキッチングラスセットのデザインがあります。
どちらのガラス製品もつららが滴り落ちるような外観が特徴です。
<引用元:https://www.pamono.com/>
ブリュック氏とヴィルカラ氏は、デザインと教育を通して、戦後のフィンランドのデザイナー、学生、一般の人々に貢献し、現在「Tapio Wirkkala ーRut Bryk財団」があります。
ヴィルカラ氏は現実的で堅実な性格であり、創作の世界にどっぷり浸ってしまうブリュック氏とは正反対の性格でした。
ブリュック氏は家事をしなかったわけではないのですが、ヴィルカラ氏は毎朝、彼女のためにコーヒーを入れ、スタジオへの送り迎えをしていたそうで、仲の良い夫婦生活が伺えます。
ルート・ブリュックとタピオ・ヴィルカラの子供
二人の間には、サミ Sami(長男 1948生まれ)とマーリア Maaria(1954年生まれ)がいます。
サミはインテリアデザイナーでマーリアはコンテンポラリー・アーティストです。
<引用元:uutihttps://yle.fi/set/>
マーリア・ヴィルカラ
サミ氏とブリュック氏の動画です。
二人の子供は、普段はそれほど両親にかまってもらえなかったそうですが、休暇には家族で旅行に行っていたそうです。
「私たちの両親は子供のための遊び──おもちゃを与えたり、遊園地に連れて行ったりなどはほとんどしない親だったのですが、家族で過ごす湖畔の家での長い夏の休暇、冬のロヴァニエミの別荘で暮らしそのものが遊びでした。 釣りをしたり、薪を作ったり、料理をしたり、湖で泳いだり、森を探索したり……そういったことすべてが家族の思い出になりました」 出典:https://booksandmodern.com/
ルート・ブリュックの展覧会
ルート・ブリュック 蝶の軌跡
引用元:http://bluesheep.jp/2020-4
会期:2020年6月6日~8月16日
会場:岐阜県現代陶芸美術館住所岐阜県多治見市東町4-2-5 (セラミックパークMINO内)
陶器、テキスタイル、版画など約200点の作品を通じて、ブリュックの創作の軌跡をたどる日本初の回顧展です。