職人さんの流動性の高い匠の技を醸し出す「だんじり彫刻」。
木彫刻を創る河合賢申(かわい けんしん)さんもだんじりの彫り師です。
本記事では河合賢申さんの経歴や工房の場所などを紹介しながら、だんじり彫刻の魅力を見ていきます。
だんじり彫刻とは?
だんじり(地車)とは、神社の祭礼で街られる山車の種類です。「だんじり」は主に近畿、中国、四国地方で使われる呼称で、この山車に施されている彫刻がだんじり彫刻です。
だんじり彫物は漆塗りや金箔などを施さずに、欅の木目を活かした仕上がりで、彫り物の種類は人物、馬、霊獣、そして花鳥ものから唐草などの文様に至る実に様々なものがある。見どころとしては、腰回り、見送り、枡合などで、そこには戦記物語や神話物語の名場面が彫刻されている。彫物の題材に取り上げられる物語は、大衆に親しまれた歌舞伎、人形浄瑠璃、講談での演目が多く、だんじりには史実と虚構が入り混じった「物語」の世界が繰り広げられている。彫刻師はそれらの物語を題材として描かれた錦絵や、絵本(絵入の読み物)の図柄を参考に下絵を描き、その下絵をもとに立体的な構想を膨らませて欅に匠の技を刻み込む。 出典:岸田市民ウェブサイト
だんじりを使うお祭りで1番有名なのは、大阪府の岸和田だんじり祭で、毎年9月と10月に行われます。総ケヤキ造りで、前方に2本の綱をつけ、約500人で地元の町を走ります。
だんじり彫刻家 河合賢申(申仁)
引用元:https://www.pen-online.jp/
河合さんは、1968年8月6日生まれ。大阪府在住で、地車彫刻に魅せられ、18歳から老舗の木下彫刻工芸で木下賢治親方に師事し、2010年に独立。自身の工房「賢申堂」を設立しました。
淡路島伝来の淡路彫の技を受け継ぎ、木彫刻で、日本神話、源平合戦、大坂の陣などの歴史ものや、花鳥霊獣のモチーフを自由に表現しています。
河合さんは、有志で立ち上げた「だんじり彫刻研究会」は木彫刻の展覧会を開催したり、図録「図説だんじり彫刻の魅力」の刊行もしていて、全国にだんじり彫刻の魅力を広げる活動もしています。
この精密な彫刻を全てフリーハンドで創っていく技術は、まさに神業と言えるでしょう。
河合賢申の作品
引用元:https://www.pen-online.jp/
引用元:https://twitter.com/
引用元:https://ameblo.jp/
最近は、だんじり彫刻も斬新な現代的なものが出てきていますが、河合さんはだんじり彫刻の深い歴史を考え、伝統的な作品を意識しているそうです。
他の作品も賢申堂で御覧ください。
賢申堂
引用元:http://www.tv-osaka.co.jp/
〒596-0074 大阪府岸和田市本町7−19
電話 072-438-1068
こちらの工房には、だんじり彫刻の工程を一目見ようと、ファンが訪れているそうです。
だんじり彫刻の展覧会は?
「彫物 ひねもす博覧会」が岸和田市浪切ホールで、2019年6月に開かれました。
1日だけでしたが、1,000人以上の来場者があり、多くのだんじり彫刻を鑑賞でき、素晴らしい展示会でした。
また、河合さんが監修した「図説だんじり彫刻の魅力」も販売。
現在、アマゾンでも購入できます。
引用元:https://www.amazon.co.jp/
100点以上の写真と図表を用いて、岸和田と淡路で育まれた「だんじり彫刻の魅力」を紹介しています。岸和田の地車(だんじり)と淡路の太鼓台(だんじり)の彫刻作品を中心に、幕末・明治・大正・昭和・平成に活躍した彫刻師ごとに、祭関係者の中で傑作と呼ばれる作品も多数掲載しました。さらに、写真と情報の羅列に留まらないように、「だんじり彫刻」が育まれた、淡路島の風土、太鼓台と地車の歴史文化とルーツ、彫刻鑑賞の手引きを掲載し、読者の助けとしました。 出典:アマゾン
木彫刻は仏教の伝来、6世紀頃から日本に伝わって来たと言われ、日本人の文化を支えてきました。
日本の伝統芸術の奥の深さを感じさせるだんじり彫刻は、私達が木彫刻文化をこれからも守っていき、次世代に引き継ぐ活動の大切さを感じさせます。