アニミズムのようなモチーフで絵画や彫刻を制作している現代美術家の加藤泉(かとう いずみ)氏。
魔法にかかったような表情の人型の形態は不思議な魅力をもち、世界中で開催される展示会を通して、革新的な芸術家として注目を浴びています。
加藤泉氏のプロフィール、経歴、学歴、賞歴、作品を紹介します。
またアトリエやバンド活動、日本で作品を見られる個展も見ていきましょう。
加藤泉のプロフィール 経歴・学歴・賞歴
引用元:https://www.art-it.asia/partners/museum/haramuseum/204849
生年:1969年
出身地:島根県
学歴:武蔵野美術大学造形学部油絵学科 卒
加藤氏は出雲大社のある島根県出身なのでアニミズム信仰は身近であり、全ての自然物に神が宿っているという信仰がすんなり受け入れられたそうです。実家の近所には古墳がたくさんあり、遊び場だったとか。
大学卒業後、油絵の胎児のような作品で注目を集め、2000年からは彫刻、立体作品も手掛け、ドイツ、イタリア、アメリカなどの海外の展覧会にも出品。
加藤氏の制作した『無題2004』を英語圏の鑑賞者が衝撃を受けて、「SCP-173」の設定を考え、「SCP_Foundation」を産み出すきっかけとなりました。加藤氏自身は、『無題2004』がSCPのキャラクターとして認知される事を望んでいません。
無題2004 引用元:https://tr.twipple.jp/
2007年、第52回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際展示会に招待され、世界的に知名度が上がり、2016年からは、パリのリトグラフ工房「Idem Paris」で自由に制作活動が行える数少ないアーティストのひとりに選ばれ、リトグラフの制作にも取り組んでいます。
リトグラフ工房「Idem Paris」
1881年にリトグラフのプレス機を設置するために誕生した印刷工房で、1930年代からは地図専門の印刷工房、70年代後半以降は「ムルロー工房」という名でシャガール、ピカソ、マチスなどの巨匠のリトグラフを数多く制作してきた。リトグラフでは、作家がすべてをコントロールすることはでず、絵を描いたら熟練の職人に委ね、プレス機が作品を完成させる。高い技術を持つ彼らと協働することによってアーティストの思いを込めて作品に仕上げられることが、長年の人気なのかもしれない。
引用元:https://takenagaeri.com/
パブリック・コレクション
- 日本
原美術館
東京都現代美術館
神奈川県鎌倉現代美術館
大阪国立美術館
日本国立近代美術館
岡崎市美術博物館
S-HOUSEミュージアム
タグチアートコレクション
高橋コレクション
高松市美術館
豊田市美術館
ヴァンジ彫刻庭園美術館
21世紀美術館 - 海外
フランクス・サス・コレクション イギリス
龍美術館 中国
ピゴッツィコレクション スイス
加藤泉のアトリエとバンド活動
加藤氏は以前は、相模原市にある共同アトリエ「STUDIO カタクリコ」で制作されていたようですが、今は都内にアトリエがあるようです。
趣味で「THE TETORAPOTZ」という覆面ロックバンドを結成。革製の覆面は加藤氏の作品でドラム担当し作詞作曲も行っています。「THE TETORAPOTZ 」は、アーティスト5名で結成されたバンドで、主に、美術館などアートと交わることのできる場所で活動を展開しています。
加藤泉の作品
加藤氏の作品をいくつかご紹介します。
引用元:https://www.artsy.net/artist/
引用元:http://moussemagazine.it/
引用元:https://news.artnet.com
引用元:https://www.timeout.com/
引用元:https://onarto.com/art-event/
引用元:http://moussemagazine.it/
加藤泉さんのサイト http://izumikato.com/
加藤泉の展覧会・個展
2019年に群馬・ハラ ミュージアム アークと原美術館で同時開催されていました。
加藤泉のモチーフ「生命体」とは何か
加藤氏の手掛ける原始的な生命体とは一体何なのでしょう。
異形からは、地球に存在していない宇宙生物のようにも見えるし、胎児のようにも見えます。また、伝統的社会を営むアフリカンやサウスアメリカンのようなイメージも湧いてきます。
鑑賞者は加藤氏の作品から、まず「快」ではない衝撃を受けとりながらも、神秘性を感じるでしょう。この不思議な生命体から発せられる鼓動は、生きるものの根源を私達の脳に呼びおこさせます。そうしていくうちにこの不快であった生命体が、なぜか愛らしくも思えて微笑んでしまっているのです。
視覚で捉えられないけれど、実在している切り離せない生を、別空間で感じさせてくれる加藤泉氏の作品を、ゆっくりと味わってみたいものです。