2020年の東京オリンピックでの聖火リレートーチが、「桜」をモチーフにしたデザインに決まりました。
このデザインをしたのは、世界的に活躍するデザイナーの吉岡徳仁氏。
本記事では、2020年東京五輪での聖火トーチのデザインや特賞、吉岡徳仁氏の経歴や他の作品を見ていきます。
東京五輪の聖火リレートーチ
聖火リレートーチは長さ71センチ、重さおよそ1.2キロ。
日本を代表する花、日本人なら誰もが思い入れのある桜がモチーフになっています。
トーチを上部から見ると桜の花びらの形になっていて、5つに分かれていた炎が中央で1つに集まるように作られています。
「桜」トーチの特徴
トーチは、ピンクとゴールドの中間の色合いで、「桜ゴールド」とよばれています。
素材はアルミを使い、およそ30%分は、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の復興仮設住宅の廃材から再生したアルミ廃材を再活用しています。
燃焼部には、火力の強い青い炎と、触媒燃焼の2つの燃焼が聖火の赤い炎を支えるという仕組みになっています。
聖火トーチリレーはいつから?
2020年3月26日に福島県のJヴィレッジから始まり、7月24日、新国立競技場で行われる開会式までに121日間をかけて47都道府県すべてを回ります。
ランナーの人数に予備の本数などを加えて1万本以上が製造される予定で、聖火ランナーはリレー終了後、希望があればトーチを購入できるとのことです。(過去の大会では5万円から7万円で販売されました)
吉岡徳仁 デザイナーの経歴
デザインを担当したデザイナーの吉岡徳仁さんで、国内のアルミ製品やバーナーなどのメーカーと協力して、この聖火トーチの製造に当たりました。
吉岡徳仁
氏名:吉岡徳仁 (よしおか とくじん)
生年月日:1967年1月20日 52歳
出身地:佐賀県
学歴:桑沢デザイン研究所 卒
幼少期からレオナルド・ダ・ヴィンチの影響を受け芸術と科学に興味をもっていて、三宅一生、桑俣史郎に師事し、2000年に吉岡徳仁デザイン事務所を設立。
光と自然をテーマにした作品が主で、日本の美の根源を、光などの非物質的な要素を形象化した独特の表現をしています。
グローバル企業のデザインを数多く手がけ、ISSEY MIYAKE、カルティエ、ルイ・ヴィトン、エルメス、TOYOTAなどと、コラボレーションもしています。また、毎年イタリアで開催されるミラノサローネで、有名家具ブランドとのコラボレーションし、新作を発表しています。
主な日本での受賞歴
- 1997年 JCD Design Award大賞
- 2002年 2001年度毎日デザイン賞
- 2007年 第57回芸術選奨文部科学大臣新人賞
- 2007年 グッドデザイン賞金賞
- 2010年 TOKYO Design & Art ENVIRONMENTAL AWARDS/Artist of the Year
吉岡徳仁の代表作品
紙の椅子 Honey-pop
2001年に発表された「紙の椅子」はたたむとわずか1cmしかなく、世界中から注目を集めました。
ガラスのベンチ Water Block
2002年の作品。オルセー美術館での常設になっています。
Venus – 結晶の椅子
2008年のクリスタライズドプロジェクトのひとつで、水槽の中で自然結晶が椅子を創り出す作品。
虹の教会 – Rainbow Church
500個ものクリスタルプリズムから生み出された建築で、ウオッチャーが光を体感することにより完成する作品です。プリズムから放たれる分光で虹色に満たされる作品です。
ガラスの茶室 – 光庵
2011年にイタリア・ヴェネツィア ビエンナーレ国際美術展にて発表。京都の天台宗青蓮院門跡境内、将軍塚青龍殿の大舞台に設置されました。2019年4月17日から2021年5月10日までは、国立新美術館 正面入口前に展示されます。降り注ぐ太陽の光により「光の花」と呼ばれる虹が見え、自然光の下で様々な色に変化していきます。
吉岡徳仁の聖火トーチへのきっかけと想い
2015年に福島・南相馬を訪れ、被災地の小学生と共に桜のエンブレムを描いたことが、聖火トーチのデザインのきっかけになったそうです。
「トーチのデザインにあたって考えたのは、被災地への方々への想い、心の復興と平和への願い」「子供たちの描いた桜の力強い表現がこのトーチのヒントになっている。被災地の方々が苦難を乗り越えて立ち上がる姿を世界の方にご覧いただきたいという思いでこのデザインを描いた」 引用元:wwwcinra.net
東京2020オリンピック聖火リレーのコンセプト「Hope Lights Our Way / 希望の道をつなごう。」です。
太陽の光によって、反射しキラキラと輝くデザインのこのトーチには、吉岡氏の「聖火ランナーのみなさまがそれぞれの輝きを持って『希望の道』を繋ぐことができたら良いんじゃないかな」という思いが含まれています。
2019年の桜の花が咲く頃、この輝くトーチを持ったランナーが、「希望の聖火」を持って、各都道府県を走っている姿が、目に浮かぶようです。