江戸時代の絵師 円山応挙(まるやま おうきょ)。
足のない幽霊を描いた最初の画家といわれ、写実的でありながら大衆に親しみやすい画風が特徴とされています。
代表作には国宝の『雪松図』などがありますが、愛犬家ともいわれた応挙が描いた犬とても可愛いと現代でも評判です。
モフモフコロコロの円山応挙の犬の作品を見ていきましょう。
また実際に応挙の作品が見られる展覧会や美術館を紹介します。
狗児図 (くじず)
円山応挙は仔犬を好んで描き、特に生まれて間もない仔犬たちをモチーフにすることが多かったのです。画材としてはそれまで日本の絵画には見られなかったものであり、足のない幽霊と同じように、応挙の新しいスタイルを日本画に持ち込んだと言えましょう。
引用元:https://inukoroblog.com/
人間的な顔の表情が愛犬家を物語っていて、少しも不自然な印象は与えませんね。
仔犬図
1785 所蔵 MIHO MUSEUM 引用元:https://inukoroblog.com/
一本の曲線で描かれた白い子犬も、モフモフ感が非常によく表現されていて、応挙の写実の眼力が伺われますね。
藤花狗子図(ふじばなくしず)
引用元:https://www.pinterest.jp/pin/527836018817878167/
優美な構図の藤の下に二匹の子犬を設置するのは応挙ならではでしょう。耳の下がり具合で、生まれて数ヶ月という子犬を良く表現してますし、白い子犬の斜め後ろ向きの配置も大胆ですね。
犬兒図
http://rokucho-museum.sakura.ne.jp/collection-2/4-edo/2-maruyama-oukyo_enekorozu.html
情けなくも可愛いい子犬の表情は、目の反射した光によく表されています。
朝顔狗子図
1784 引用元:http://4mimimizu2012.hatenablog.com/
朝から転げ回る子犬たちの様子にバックを朝顔のしたところは、応挙のセンスの良さが光ります。犬を飼っている人はわかると思いますが、実際こういう動作をするんですよね。お腹のタポタポ感と子犬の尖った歯の描写もたまりません。
円山応挙 美術館
円山応挙の作品が見られる美術館
http://art.xtone.jp/tag/search.cgi?blog_id=1&tag=%E5%86%86%E5%B1%B1%E5%BF%9C%E6%8C%99&limit=20
円山応挙の写実性
日本画家で写実に富んだ画家は大勢いますが、応挙は農家出身であったので、動物、植物、昆虫に対して自然の恵みを感じ、深い愛情をもっていたと作品から見受けられます。
精密に写真のように正確に描くことは、当時の画家の技量の高さでもありましたが、応挙はそこに自分の感情も入れ込み、表現をしたのだと思われます。
今から200年以上前に、すでに動物のモフモフ感に大衆が共感していたのは、不思議な気もしますが、これも動物が普遍的に可愛いという証拠のひとつなのでしょう。