日本画家で東京藝術大学名誉教授、日本美術院評議員の宮廻正明(みやさこ まさあき)氏。
端正な美しい作品が特徴ですが、第75回春の院展に出品される作品「銀河鉄道」が、2020年7月にSNS上でロックバンド『ソウル・フラワー・ユニオン』の、CDジャケットに使われた写真に似ているとの指摘がありました。
ここでは、宮廻氏の経歴・作品・学歴・受賞歴・展覧会などをみていきましょう。
宮廻正明のプロフィール 学歴・経歴・受賞歴
生年月日:1954年1月24日
出身地:島根県松江市
学歴:、東京芸術大学卒業、同大学院修了
平山郁夫氏に師事。
東京芸術大学名誉教授。 日本美術院同人・常務理事。公益財団法人文化財保護・芸術研究助成財団理事長。足立美術館評議委員長。山種美術館理事。
1991年第46回春の院展で外務大臣賞受賞。
1999年再興第84回院展で文部大臣賞を受賞。
2002年再興第87回院展で内閣総理大臣賞を受賞。
海外の個展でも高い評価を得て、「裏色彩」の作品が人気となっています。また、古典技法を現代に生かしつつ、デジタル技術を取り入れた「動く日本画」まで披露しています。
宮廻正明の作品と価格
ご自身のインスタに作品を投稿なさっていますので、多くの繊細な画を観ることができます。
https://www.instagram.com/miyasakomasaaki/
作品のオークションの価格は約50万円から3千万円となっています。
宮廻正明の展覧会・セミナー
2018年に東京芸術大学美術館で、過去最大の回顧展が開かれました。
所蔵品 美術館
宮廻氏の作品を所蔵している美術館は多数ありますが、ひとつ 足立美術館を紹介します。
所在地 〒692‐0064 島根県安来市古川町320
https://www.adachi-museum.or.jp/access2
「幻揺燈駆」「午後の揺曳」が展示されています。
酷似作品「銀河鉄道」のスキャンダル
これ、どうなんよ。反転させてるけど、トリミングまでそっくり。ちなみにソウル・フラワー・ユニオン『死ぬまで生きろ』のジャケの際は、バングラデシュのカメラマンAftab Tuhinさんに使用料を払って使わせて貰った。 pic.twitter.com/IPYah08cR5
— ソウル・フラワー・ユニオン (@soulflowerunion) July 16, 2020
17日にそごう美術館(横浜市西区)で始まった「春の院展」に宮廻さんが出品した「銀河鉄道」は、列車から身を乗り出す少女を描いていた。この絵が、ロックバンド、ソウル・フラワー・ユニオンのCDジャケットに使われた写真に似ているとの指摘があった。美術院では倫理委員会を設置し、「道義上の責任として看過できない」として役員辞任の勧告と、1年以上の謹慎処分とした。作品は展覧会から撤去された。
宮廻さんは取材に対し「2006年に、タイで見せられた写真を、関係者の許可を得て、スケッチしたものを絵にした。これを発表したのは大きな間違いでした。写真家の方を探しておわびしたい。謹慎期間中はすべての作家活動を自粛します」と話している。 出典:朝日デジタル
写真を見てインスピレーションが湧いたそうですが、構図や少女の服が同じなのは、創作とは言えないでしょう。有名でない外国人の写真家の写真だったため、気にもとめなかったようですが、大御所の慢心というところですね。
昔だったら、なあなあで済ませられたでしょうが、今はSNSの時代で世界中のあらゆる人たちの情報が簡単に手に入ってしまい、いい加減なことはできなくなっています。宮廻氏も悪気があったわけでなく、確認業務を怠ってしまったわけです。
芸術家としては「パクリ」と言われてしまうのは、意図的でない場合はかなり大きなダメージになるのではと心配になります。しかし、世界的な有名な芸術家、例えばピカソやクーニングなども盗作疑惑はありますが、作品自体に大きな影響を与えていません。ですから、宮廻氏の作品が評価が下がったりすることはないでしょう。これからも変わらず、緻密で端正な色彩の画を制作していただきたいと願っています。