哲学研究者、上智大学文学部教授の荻野弘之(おぎの ひろゆき)先生。
西洋古代哲学、教父哲学専攻で、著書『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業』が、現代人の人生の生き辛さを解消する内容で、人気をよんでいます。
ここでは、荻野弘之先生のプロフィール、学歴、経歴、著書を紹介します。
荻野弘之のプロフィール 学歴・経歴
生年:1957年
学歴:東京大学 教養学部 、 文学部 哲学科、人文科学研究科 哲学専門課程 修士
1985年東京大学教養学部助手、1988年東京女子大学専任講師、1991年助教授、上智大学文学部哲学科助教授、1999年から上智大学文学部哲学科教授。上智大学中世思想研究所長。英国オクスフォード大学客員研究員。
専攻は古代ギリシア哲学。特に(1)中期プラトンからストア派にいたるモラルサイコロジーの系譜。
心の哲学と価値論の交錯する分野に関心を持つ。(2)プラトン対話篇の非発展史的、文学論的な解釈手法の開拓。
(3)4世紀東西教父におけるギリシア哲学の受容と変容。特に比喩的聖書解釈学とプラトン主義の関係。
(4)後期ストア主義倫理学と教父思想 。
出典:上智大学哲学科
荻野弘之の著書 「人生の授業」
奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業
奴隷が奴隷でありながら、いかに真の自由を手にするか―。異色の古代哲学者から学ぶ「不惑」の生き方・考え方。 出典:アマゾン
古代ローマ五賢帝時代に生きた哲学者エピクテトス。奴隷から開放され禁欲主義のストア派の代表的な哲学者です。これの言葉から現代の私たちがいかに人生を幸せに生きるかが説かれています。
他人の言動や環境、社会の状況など、自分でコントロールできないことは軽視して、自分のできることに集中する。多くの欲望をコントロールして自分に一番大事なことだけを願い実現していく。日々の小さな苦痛をとる勇気をもつと、将来くる大きな苦しみから逃れられる、など今の自己啓発で提言していることの基本となっています。
特に、「自分の考えだけは、自分だけのもので誰にも侵害されない」というのには感嘆しました。社会事情、規則、習慣はもちろんのこと、たとえ自分の身体が動かなくなっても、自分の思想だけは誰のものでもない自分だけのものなのです。奴隷の過去をもつエピクテトスは様々な苦境をくぐり抜けてきて、こうした強い信念をもつことができたのでしょう。確固たる自分の考えに従って生きていくのは、想定外の時代を生きる私たちに必須であると感じました。
荻野弘之の他の著書
哲学の饗宴 ソクラテス・プラトン・アリストテレス
古代ギリシアの三大哲学者、ソクラテス・プラトン・アリストテレス。アテナイを舞台に活躍した、この三人の哲人によって、西洋哲学の基礎は築かれた。哲学とは、なにを、どのような仕方で問う学問だったのか。彼らが遺した言葉に思索の「原型」を探り、またそれを通して、人間を取り巻く諸問題を解明していく。
ギリシア哲学を学ぶ人に最良の書。平易な表現ながら高い格調を維持、単なる解説に終わらず著者の見解が明瞭に示されている。 出典:アマゾン
哲学の原風景 古代ギリシアの知恵とことば
「私自身を知りたい」紀元前五世紀のヘラクレイトスの言葉は極めて今日的である。タレス、ピタゴラス、パルメニデス、プロタゴラス…、ソクラテス以前の思想家たちは様々に「世界」や「人間」を探究していたが、そこには今日へと繋がる共通の思考態度=論理の誕生があった。彼らの残した言葉を読むことにより「哲学の始まり」の時期に立会い、「哲学とは何か」をその原風景から問いなおす書。
本書はソクラテス以前の哲学者と、彼らの考え方の原型がまとめられている。大きくは9つの章と、古代哲学を学ぶために知っておくべき4項目が記載されている「補論」で構成されている。内容は、ミレトス派のタレスをはじめ、ソフィストと呼ばれたプロタゴラスまでの7つのグループにわけられており、それぞれに詳細な説明や、著者の持論などが筋道立てて並べられている。また難解な概念や、哲学用語に埋め尽くされた一部の類本とは一線を画し、この本でも述べられているが、「他人にも分かる」ように噛み砕いた言葉で展開されている。 出典:アマゾン