小説家、漫画家としての活動のほかに、マルチメディアを用いた制作を行っている小林エリカさん。
乱雑に見えるイラストとともに語られるのは、深い世界史や科学史の内容で、現代の私達が何をすべきなのかを、考えさせられる作品が多々あります。
ご両親はシャーロキアンであり、エンペランティストでもあり、その想像力と知性の深さを受け継いだと感じさせます。
ここでは、小林エリカさんのプロフィール、経歴、学歴、作品、個展やオススメの本をみていきましょう。
小林エリカのプロフィール 経歴・学歴・賞歴
生年月日:1978年1月24日
出身地・居住地:東京都
学歴:東京大学大学院学際情報学府修士課程修了
- 2001年 『ネバーソープランド』を出版
- 2003年:カナダ・バンフセンターにアーティスト・イン・レジデンス(国際交流基金)
- 2006年:エストニアEAA、フランスCAMACにアーティスト・イン・レジデンス(野村国際文化財団)
- 2007年〜2008年:アジアン・カルチュラル・カウンシルの招聘でニューヨークに滞在
- 2010年:春よりkvinaメンバーと共に英語・日本語・エスペラント語三ヶ国語をモチーフにした本にまつわるプロジェクトLIBRO de KVINAを開始
- 2012年:Phewと“ラジウム・ガールズ”に捧げた project UNDARK を開始。楽曲提供は CLUSTER の Dieter Moebius が行なっている。
- 2014年:小説『マダム・キュリーと朝食を』(「すばる」2014年4月号掲載)で第27回三島由紀夫賞候補、第151回芥川龍之介賞候補。
- 2015年:ニューヨーク、アムステルダムで個展
- 2017年:軽井沢ニューアートミュージアム「トリニティ」
- 2019年:ロンドンで個展「最後の挨拶 His Last Bow」
小林エリカの両親
小林エリカさんのご両親はふたりとも、シャーロキアンで、日本シャーロック・ホームズ・クラブを創立。
父親 小林司(こばやし つかさ)1929−2010
精神科医、作家、翻訳家。青森県弘前市出身。東京大学大学院博士課程修了。医学博士。
上智大学カウンセリング研究所教授を経てメンタル・ヘルス国際情報センター所長。極めて闊達なエスペランティストとしても知られ、日本エスペラント学会の顧問でもあり、エリカさんもエスペランティストです。
母親 小林洋子 東山あかね 1947〜
翻訳家、著作家。1977年に夫 司さんと日本シャーロック・ホームズ・クラブを主宰。司さんと数多くのホームズの本を共訳しました。
主な翻訳作品は、「ホームズは名探偵」(金の星社)、「シャーロック・ホームズ全集」(河出書房新社)などがあります。
小林エリカの展覧会・個展
2019年に、マンガ作品『光の子ども3』の刊行を記念した小展示と、新作による個展が、東京 恵比寿の「NADiff Window Gallery」で開催されました。
第 12 回恵比寿映像祭 地域連携プログラム
小林エリカのオススメの著書
トリニティ、トリニティ、トリニティ
オリンピックに沸く2020年夏の東京。「目に見えざるもの」の怒りを背負った者たちが立ち上がる――ノンストップ近未来長編! ○「20世紀最大の呪いは、原子力の発見とその実用化だった。小林エリカは核に取り憑かれた作家だ、いや、核に取り憑いた巫女だ。その予言は私たちを震え上がらせる」――上野千鶴子氏(社会学者) 出典:アマゾン
光の子ども 1
1900年のパリの万博と21世紀の福島はつながっている.
キュリー夫人が発見した放射性の物質の歴史を光少年と猫のエルヴィンが案内してくれる. 希望と不安.半減期.それは生きものの体に刻まれた時間だ.タイム・リミット. まだ間に合う? まだ? 出典:アマゾン
親愛なるキティーたちへ
ひとりひとりが、その人生の選択の余地を、握っている。―ユダヤ人の少女、アンネ・フランク13歳。私の父、小林司16歳。戦争という同時代を生きた二人の日記に導かれ、ドイツ、ポーランド、オランダへ。死から生へと向かう、命の感触をもとめた17日間の旅。 出典:アマゾン
次世代への関心を誘う作品
小林エリカさんの小説は、ドキュメンタリー的な雰囲気を濃く匂わせ、深い知識を感じさせます。小説家としてだけでもかなりどっしりくるのですが、漫画やドローイング、写真や音声などの美術作品も交えているのは、なぜでしょうか。
小難しい社会問題は若い世代に敬遠されがちで、文字だけだとインパクトは強くありません。そこで、ヴィジュアルな要素を入れて、これからの時代を担う若者たちに関心をもってもらいたい意図があるような気がします。実際の小林さんの美術作品は正直それほど熟練したものではなく、現代の風潮に合わせた作風が多いです。しかし、漫画のように視覚にうったえるものであれば、ストーリーの内容も考察しやすいはずです。そして、史実にフィクッションを少し加え、違った未来をつくれることを匂わせています。
小林さんの作品は、これから私達が生きていくうえで、どのような考えを持って進んでいくのが、世界の幸せになるかを考える良い機会ではないでしょうか。