「あいちトリエンナーレ2019」で参加型作品『The Clothesline』が注目されています。
この作品の作家は、メキシコのフェミニスト美術活動をしているモニカ・メイヤー(Monica Mayer)氏。
40年間男女平等の活動を続けているメイヤー氏のプロフィール、経歴、学歴、賞歴を紹介します。
また女性差別をどのように作品に表しているのでしょうか。
モニカ・メイヤーのプロフィール 経歴・学歴・賞歴
生年月日:1954年3月16日
出身地:メキシコ メキシコシティ
学歴:ゴダードカレッジ芸術社会学
メイヤー氏は子供の頃から女性差別を受けていましたが、それが一般的なこととは気づいていませんでした。
美術学校の勉強中に、フェミニズムの対する関心が深まり、在学中にメキシコのフェミニズム運動に参加をしていました。
1983年に、マリス・ブスタマンテとともに、メキシコで初のフェミニストアート 「ブッラク/ヘン/パウダー」を設立。
マリス・ブスタマンテ (Maris Bustamante)
1949年生まれ。メキシコの現代美術家。テレビ放送を通じてパフォーマンスアート作品を発表し、大衆を巻き込んだ。ジョークを含んだ社会風刺の作品が有名。
アートを通じて女性の社会的な一を訴え、彼女の作品は、メキシコ、アメリカ、ヨーロッパでの100を超えるグループ展、美術館、ギャラリー、地下鉄の駅、ナショナルギャラリーなどの多くの個展で展示されています。
長年にわたり、彼女はパフォーマンス、ドローイングだけでなく、執筆、教育、アーカイブ、コミュニティへの積極的な参加を通じた芸術的貢献にも重点を置いています。
モニカ・メイヤーの作品 The Normal
モニカ・メイヤーの作品 「聖母」
1977-78、グラファイトとティッシュペーパー、インク、39 x 38 cm 引用元:https://frieze.com/article/
モニカ・メイヤーの作品 ドローイング
モニカ・メイヤーの作品 「The Clothesline」
1978年から始めた参加型のプロジェクト『The Clothesline』。
参加者は匿名でピンクの紙に、物干しロープに実際の体験や差別と感じることを書き、しれを物干しロープに洗濯バサミで挟んで展示します。
このパフィーマンスは40年も前から世界各所で行われていて、「あいちトリエンナーレ」のように、展示場は常にピンクの紙でいっぱいになります。
自分の状況に気づくことが大事
ほとんどの女性は、「女性として嫌がらせを受けたことがありますか?」と聞くと「いいえ、ありません」と答えます。
そこでマイヤー氏は、子供の時、兄や弟が大学へ行けたのに、女性の自分はいけなかったことや、電車の中で絡んでくる男性や、会社でなかなか昇進できないことについての経験はないか?と聞いてきます。
人生を紐解いていけば、女性であるために不条理な不快な思いをしたことは必ずあるはずです。
それをひとり一人が書き留めることにによって、「嫌がらせ」の意識を高めていくことが、まずははじめの一歩です。
メイヤー氏の作品は、女性も男性も「嫌がらせ」の意識は薄く、一般的なものとして受け止めている社会現象をもう一度見直すためのものです。
今は「#MeeToo」の活動により、多くの女性が「嫌がらせ」や「差別」について覚醒してきて、時として過激な言動も注目されています。
これからは、こういったパフォーマンスも益々多くなることが予想されますが、私達の社会でどのような展開をみせるのでしょうか?