北海道の二風谷(にぶたに)地域は日本の中でもっとも多くアイヌの人々が住む場所です。
その二風谷で40年以上もアイヌ工芸を作り続ける高野繁廣・啓子夫妻。
高野繁廣・啓子夫妻の作品、経歴、展示会、経営している工芸品店を見ていきましょう。
高野繁廣・啓子のプロフィール、経歴
高野繁廣さんは、1950年、東京日野市生まれ(2019年現在 69歳)。
工業高校を卒業し、電気関係の会社に就職しましたが体調を崩し退社。
子供の時から自然環境が破壊されていく東京に疑問をもっていた高野さんは、22歳のときバックパッカーの北海道旅行をしました。
ヒッチハイクをした車は、二風谷で降ろされ、雨が振りそうなので「軒下を借りたい」と「貝澤民芸」という店に申し出たところ、泊まっていくように勧められました。
これが師である木彫師の貝澤守幸さんとの出会いです。
アイヌ工芸品の強く惹かれた高野さんは、そのまま1週間飯炊きアルバイトとして民芸品店に逗まり、北海道に移住することを決意しました。
東京に戻ると、4年間付き合っていた啓子さんと結婚し、1週間後にはまた北海道へ。
当時、東京で会社勤めをしていた19歳の啓子さんにとって北海道に住むのは、両親や友人と離れることになり、辛かったそうです。
繁廣さんは、二風谷一の木彫りの腕を持つ貝澤さんに本格的に弟子入して、啓子さんは、「貝澤民芸」で務めなから、貝澤さんの妻、雪子さんにアットゥシ織りを習います。
アットゥシ織り
アイヌの民族衣装や網み籠などとして用いられる日本最古の機織り技法。材料には北海道の植物「オヒョウ」を使用しており、「アットゥシカラペ」と呼ばれる日本に現存する地機のなかでもっとも古い形の織り機が使われいる。着る人のサイズに合わせた布が織れるので、裁断箇所が少なくてみ、ほつれにくい衣類ができる。
引用元:https://kodaiori.net/blog/
1979年、29歳の時独立して「高野民芸」を創業します。
伝統の文様の図柄にこだわり、マキリ(小刀)、ニマ(器)、イタ(盆)、トンコリ(五弦琴)を制作し続けます。
現在、トンコリは高野繁廣さんしか作ることができません。
全道アイヌ民芸工芸品コンクールで、最優秀知事賞など多数の受賞歴があり、アイヌ工芸品の魅力を全国に広げる活動も行っています。
高野繁廣・啓子の作品
昔ながらの伝統と精神を守り続け、一彫り一彫りに魂が込められた作品を何点か紹介します。
高野繁廣 2019年 展示会
2019年後半のイベントは、「アイヌ文化フェスティバル」で高野さんの木彫り実演が見れ、体験講座の講師として指導を受けられます。
アイヌ文化フェスティバル
場所:北海道札幌市中央区北二条西七丁目
北海道立道民活動センター かでる2・7
電話 011-788-6868
会期 2019年8月24日
高野工芸店
場所 北海道沙流郡平取町字二風谷76−4
電話 01457-2-3585
営業時間 9:00−17:00
お店で人気がある商品はマキリ(小刀)とメノコイタ(まな板とお皿が一体化したもの)。
メノコイタはパンをテーブルで切ってそのまま盛り付けて出せるので便利だそうです。