ガラス工芸家の小谷真三(こだに しんぞう)、栄次(えいじ)親子。
倉敷ガラスは、小谷真三氏が独自の工夫を重ね、一人での作業工程で創り上げたもので、小谷眞三・栄次の作品のみを「倉敷ガラス」と称されています。
小谷真三・栄次親子の作品、経歴、展示会を見ていきましょう。
小谷眞三 プロフィール 経歴・賞歴
氏名:小谷眞三 (こだに しんぞう)
生年:1930年
出身地:岡山県井原市
倉敷民芸館役員・倉敷芸術科学大学教授・倉敷芸術科学大学大学院教授
小谷眞三氏は、倉敷市の自宅で光球製造加工を29歳の時に始めます。
20代前半から、クリスマスツリーに飾る玉を吹きガラスで作っており。「小谷の玉」として高く評価をされていました。
ガラスのコップを作り始めたのは、31歳のときから。
きっかけは、長男栄次氏が怪我をして連れて行った接骨院の坪井医師との出会いです。
坪井氏は民藝運動の活動をしており、眞三氏にコップを作って欲しいと依頼しました。
民藝運動
1926年に柳宗悦、富本憲吉、河井寛次郎、浜田庄司の連盟で、「日本民藝美術館設立趣意書」の発刊により開始された。日常的な暮らしの中で使われてきた職人たちの作る日用品の中に「用の美」を見出し、「簡素で飾らない健康な美しさ」を追求する日本独自の運動。
当時、眞三氏は民芸運動には興味がなく、坪井氏が何度頼んでも断っていたのですが、「自分で作り方を考える」というところに惹かれ、やっと引き受けたそうです。
ガラス作りは通常数人の人たちの流れ作業なのですが、眞三氏は、すべて一人で仕上げるという自分流の製造方法を完成させました。
その後、岡山民芸協会に入会し、岡山満点屋で個展をしたり、大原美術館東洋館のステンドグラスを制作しています。
1971年に、倉敷市粒江に工房を作り、1980年、WCCウイーン大会に参加したことで、世界的ガラス美術館への出品を要望され、外国との交流も始まります。
賞歴
- 1982年 倉敷文化連盟賞授賞
- 1985年 岡山県文化奨励賞授賞
- 2000年 倉敷文化賞
- 2007年 岡山県文化賞
息子 小谷栄次のプロフィール 経歴・賞歴
氏名:小谷栄次 (こだに えいじ)
生年:1961年
出身地:岡山県倉敷市
学歴:大阪芸術大学芸術部写真家 卒
小谷眞三氏の長男として生まれ、大学卒業後、写真スタジオに入社しましたが、1986年、父親に師事し吹きガラスを始めます。
小鉢だけを7年間作り続け、その後は、ぐい呑みとコップを毎日深夜まで作り続けてきました。
1993年、32歳のとき、「倉敷ガラス 眞三・栄次父子展」を開いたのを機に、ガラス製品を小谷栄次の倉敷ガラスとして発表できるようになりました。
1997年に初個展をしてから、各地で展示会を行っています。
父から技法を学んだので栄次氏の基本的な考えは眞三氏と同じですが、作品は同じ品でも微妙な違いがあります。
眞三氏のコップは全体的に厚めですが、栄次氏のコップは飲んだ時の口当たりを考えて、口のところを薄くしているそうです。
親子といえど、それぞれの作り手によって、ほどよい厚みと素朴さを含まれた作品は違った趣を醸し出しています。
賞歴
- 2002年 日本民藝館展 入選
- 2003年 日本民藝館展 奨励賞
- 2009年 倉敷民藝館小
- 2010年 倉敷文化奨励賞
小谷眞三の作品
小谷栄次の作品
小谷ブルーとは
小谷眞三氏と栄次氏の倉敷ガラスの青は「小谷ブルー」と呼ばれています。
求める青の色がうまく出ないで試行錯誤していた頃、当時のサントリーウイスキーの瓶の色に目をつけました。
少しくすんだモスグリーンの瓶を、青色のガラスに砕いて混ぜてつくってみたら、「小谷ブルー」が出来上がったそうです。
現在では「あさぎ」という名前のブルーにグリーンを掛け合わせて、小谷ブルーは作られています。
アメリカやヨーロッパのガラスの色味とも違う、素朴でいながら品格が漂う倉敷らしい色合いです。
小谷眞三・栄次 2019年展示会
倉敷ガラス 小谷栄次展
1.会場 もえぎ
東京都国立市中2-18-36
電話 042-505-5702
会期 2019年7月6日〜7月14日
2.会場 倉敷満天堂
岡山県倉敷市阿知1−7−1
TEL:086-426-2111
会期:8月7日〜8月12日