日本を拠点として活動する イギリス人の写真・陶芸家 マーク・ヴァサーロ Mark Vassallo。
人気のあるズームアップされた美しい花の写真は、植物ではない別の生き物のような感じさえしまう。
本記事では、マーク・ヴァサーロの経歴、作品、展覧会を紹介します。
日本文化、禅に深い知識のあるヴァサーロ氏の美意識を表現をみていきましょう。
マーク・ヴァサーロのプロフィール、経歴
1972年 イギリス ロンドン生まれ。
セントラル・セント・マーチンズの学生だった頃、日本の禅僧の描いた水墨画に触れ深い興味をおぼえました。
1992年に来日し、山梨での禅の修行の経験から自然の美しさを作品に反映していくきっかけとなりました。
TRIVAL所属で、ブランドの広告キャンペーン、映画ドラマのスチール撮影、有名人のポートレートなどを撮影する傍ら、伊豆 下田のアトリエで個性的な写真や陶芸作品を制作しています。
受賞歴
- 2011年 Taylor Wessing London Elleマガジン奨励賞(ロンドン)
- 2008年 Art Directors Club 87th Annual Awards N.Y 優秀賞 (ニューヨーク)
- 1999年 清里フォトアートミュージアム ヤング・ポートフォリオ (山梨)
マーク・ヴァサーロの作品
ヴァサーロ氏の花の写真は官能的であると言われます。
花自体をズームアップし、質感と陰影によって、貴婦人の届かないような色気をイメージさせますが、本能的に連想してしまうようなエロティック(例えば、ジョージア・オーキフィの「花」)は、感じさせません。
ベースが黒と白でありミニマムを意識している作品が多いせいか、花の繊細さ瑞々しさのほうが際立ち、凛として佇んでいる美しさのほうが、強く存在しているようです。
またこの拡大した花のフォルムを見ていると、植物ではなく別の生き物のような錯覚さえ起こり、平面の中の静かな生き物が、ゆっくりと動き出し成長をしていく感覚にも襲われないでしょうか。
陶芸は、白浜のビーチの砂を釉薬に混ぜ、独特なテクスチャーや、木炭を練りこんだオリジナリティ溢れるものです。
全てヴァサーロ氏ひとりの手で制作され、日本の自然美の要素が含まれています。
大皿、食卓用の器、キャンドルなど、どれも一つ一つ手作業で丁寧に作られていて、自然との融合を感じさせます。
2019年 マーク・ヴァサーロの展覧会
伊勢丹新宿店メンズ館2階のギャラリースペース 『ART UP/アートアップ』 で作品展があります。
「Emptiness is Form」
【会期】2019年6月5日(水)〜6月27日(木)10:00〜20:00
【会場】伊勢丹新宿店メンズ館2階=メンズクリエーターズ内 “ART UP”
タイトルの「Emptiness is Form」とは、ヴァサーロ氏が念頭におく禅の考え方に由来しており、「色即是空 空即是色」の英訳「Every form in reality is empty, and emptiness is the true form.」から来ているそうです。
会場では写真、陶器の展示販売を行っていて、この機会に、イギリス人が知る日本の美を感じ取るのもよいのではないでしょうか。