皆さんは「ラクダの図書館」をご存知でしょうか?
「ラクダの図書館」というと、何やらお伽噺のようにも聞こえますが、昔から実在し、現在でもアフリカ ケニアで活動している移動図書館のことです。
本記事では「ラクダの図書館」の場所、利用者、理由について紹介します。
ラクダの図書館とは?
ラクダの図書館は、ケニア国立図書館のサービスの一つです。
学校に行けなかったり、本を買うことのできない子どもたちのために、7,000冊以上の本を貸し出すラクダが本を運ぶ移動図書館です。
1996年10月から開始され、最初は3頭のラクダのみでしたが、現在12匹のラクダを使って、1週間に4回の活動をしています。
場所と利用者は?
ケニアの北東部の州、ガリッサは遊牧民が多く、ソマリア人のコミュニティが主となっています。
州内の多くの人々は、地理的に図書館に行くには大変時間がかかり、本を読む事ができません。
また、この地域の人々はとても貧しく、食料や生活必需品を買うのに精一杯で、本を実際に購入することはできません。
そのため、ガリッサの州立図書館は、地域の言語力、知識力を向上させる方法として、移動図書館を作りました。
なぜラクダを使うのか
ラクダは「砂漠の船」と呼ばれ、砂漠地帯の住む人々にとって大変有効的な家畜です。
重い荷物を長時間運ぶことができ、車が通行できない小さな道を通過することができます。
一頭のラクダが2つの本箱を運びますが、1箱には約200歳もの本は入っているのです。
本の種類と貸出方法
貸し出す本の、ほとんどの本は英語で書かれていますが、一部の本はスワヒリ語で書かれています。(英語とスワヒリ語はケニアの公式言語です)
本の内容は、言語、科学、小説、ドキュメンタリー、絵本と、あらゆる種類があり、プログラムの7,000冊の本のほとんどは、世界中の組織や個人から寄付されています。
本は一回に2冊の本を14日間、借りることができます。
次回にラクダの図書館が来た時に、借りていた本を返して、また新しく2冊本を借りてもいいし、持っている本を更新して、続けて借りることもできます。
文盲が多いケニアの北東部
文盲はケニアの北東部の州では大きな問題であり、州の人口の80パーセント以上が読み書きできません。
この地域に住む人々は伝統的に遊牧民であり、天候や放牧状況に応じて場所から場所へと移動して、本を読む時間がありません。
一部の人達が、試験のために本を読む必要がある時に勉強するだけで、私たちのように、娯楽や知識のために本を読む人はほとんどいません。
彼らはコミュニケーションの主な手段として、話し言葉に頼っていますので、文字を読んだり書いたりする機会が、非常に少ないのも原因です。
モンゴルでもラクダの図書館が
モンゴル国ゴビ砂漠の村では、本に触れることがほとんどく、子供たちは外にでて、小石などで遊ぶことはしばしばです。
ジャンバ氏はそうした子どもたちの語学力と想像力の向上のために、彼の家族と共に、カラフルな絵本をラクダや牛で運んでいます。
本の種類はモンゴル語に翻訳したものや、ジャンバ氏が自ら創作したものです。
通常の壁に囲まれた図書館で本を読むのとは違って、自然の中でゆったりとページをめくる楽しさもあるそうです。
まとめ
ラクダの図書館は古くは、ペルシャの宰相が膨大な書物を運ぶのにラクダを使ったことから始まったそうです。
約500頭のラクダを使って、書物がアルファベット順に並ぶようにラクダの隊列の訓練もして、これが移動図書館の始まりであるとも言われています。
私達は本が読みたければ、本屋へ行ったり、電子書籍をオーダーしたり、地域の図書館で気軽に借りることができ、非常に恵まれている環境にいることを痛感します。
ラクダの図書館への寄付にご興味のある方は、下記にアクセスしてみてください。