ヒジュラー(キンネル)は、インドの男性でも女性でもない「第3の性」です。
「ヒジュラー」という言葉は、侮蔑的な意味も含まれているので、第3の性を持つ人達は、自らを「キンネル」と呼んでいます。
今回はヒジュラー(キンネル)の人たちは、どんな人たちなのか、またその生活を調べてみました。
ヒジュラー(キンネル)はどんな人?
ヒジュラーとは、ヒンディー語・ウルドゥー語で「半陰陽、両性具有者」を意味しています。
ヒジュラー(キンネル)肉体的には男性、もしくは半陰陽です。
通常は女装しており、女性のように振舞っています。
宦官とは違って、男性が去勢しなくてはならないわけではありません。
ヒジュラーは、インドの他にパキスタン、バングラディシュにも居ます。
インドでの総数は、500万人とも言われていますが、実数は不明です。
インドの人口が13億ですから、約4%の人たちがヒジュラーということになりますね。
ヒジュラー(キンネル)の生活
ヒジュラーは、アウトカーストな存在であり、聖者としてヒンドゥー教の寺院で宗教的な儀礼に携わったり、一般人の家庭での新生児の誕生の祝福のために招かれたりします。彼らは歌を歌ったり、踊りを踊ってお祝いをします。
しかし、カルカッタやニューデリーなどの大都会では、男娼として売春を生活の糧にし、不浄のものと軽蔑されることもあります。
インドの街中や列車の中では、ヒジュラーに会うことはよくあり、近づいてくるとニッコリ笑い、チップを要求するそうです。
ほとんどの人は、ヒジュラーに会うのは縁起の良いことだと思っています。ヒジュラーには第3の性の特別な神秘的な力を持っていると言われるからです。ですから、チップを要求されたら、乞われるままに、お金を渡すそうです。また、彼らが怒って、サリーをまくりあげ、大事な部分を見せるのは、縁起が悪いと信じています。
日本なら縁起の問題というよりも、猥褻罪で事件になってしまいますね。
ヒジュラー(キンネル)になるには
ヒジュラーとして、宗教儀式に加わるためには、導師、グルと弟子、チェーラの関係を造らなくてはなりません。
志願者は「ヒジュラーの家族」となる過程を通して次第に女性的になっていきます。グルはチェーラに自身の姓を与え、自分の娘の様に扱い、構成員はお互いを女性名で呼び合います。チェーラはグルへ自分の収入を施し、通常は3人から15人ほどでひとつの家庭のように生活しているようです。
ヒジュラーとなる過程の最終段階には、完全去勢を含む宗教儀式があります。
ヒジュラーの去勢手術は、ニヴァンと呼ばれ、転生を意味するものです。以前は仲間の手で、麻酔、縫合などをせず行われましたが、現在は医師のもとで、この手術をするようになっています。
また、全てのヒジュラーが去勢するとは決定されていないようで、この手術を受けている割合はわかっていません。
ヒジュラー(キンネル)になるためには、厳しい戒律を守らなくてはいけないのですね。
まとめ
「第3の性」と言われるヒジュラー(キンネル)の人たちにとって、様々の苦悩があるようです。
イタリアのフォトグラファー、Alessandro Vincenziのドキュメント「Transgender World」では、ヒジュラーの実態を克明に映して、リアルな視点で私達に訴えかけています。
半陰陽として神格化されつつも、生きるためには過酷な陰陽を持ち合わせている彼らの心の内を少し覗けたような気がします。